14-1日本の社会福祉の歴史

西暦 元号 内容
1869 明治2 松方正義が、大分に日田養育館を設立。
棄児(捨てられた子)や孤児、貧しい家庭の子どもたちを育てるための施設です
1871 明治4 棄児養育米給与方が施行。
15歳未満(のちに13歳)の捨て子(棄児)に対して、米(のちに金銭)を給付することを定めた規定です
1872 明治5 公立の東京養育院が、身寄りのない子どもや高齢者を養うための救護施設として設立
1874 明治7 恤救規則(じゅっきゅう)が制定。
頼れる親族や地縁がない、極貧の独身者・重病人・70歳以上の高齢者・障害者・13歳以下の孤児のみ。
公的救済は例外であり、本来は身内や地域で助け合うべき(人民相互の情誼)とした
岩永マキらが、長崎に浦上養育院を設立。
国内初の児童養護施設(孤児を養育する施設)とされています
1877 明治10 現在の日本赤十字社の前身である博愛社が創設
1879 明治12 福田会育児院(東京の児童養護施設)が設立
1883 明治16 池上雪枝が、大阪に非行少年のための池上感化院を設立。
感化院とは、非行少年や保護者のいない少年を保護・教育し、更生を支援する施設(現在の児童自立支援施設)のこと
1884 明治17 高瀬真卿が東京に東京感化院を開設
1886 明治19 愛知育児院が設立
1887 明治20 石井十次が、岡山に岡山孤児院を設立。
この施設では、保母1人と十数人の子どもが、小舎(家)で家族のように生活する小舎制をとりました。
また、里子制度の導入や、独自の教育法である「岡山孤児院十二則」など、特色のある養育を行いました
1890 明治23 小橋勝之助が博愛社(孤児や貧しい家庭の子どもを育む施設)を設立しました
赤沢鍾美が、新潟に新潟静修学校を設立。
附設施設として託児所を設け、1908(明治41)年にはこの施設を守孤扶独幼稚児保護会としました
1891 明治24 石井亮一が、知的障害児施設である滝乃川学園を設立
1899 明治32 留岡幸助が、巣鴨に感化院である家庭学校を設立
1900 明治33 野口幽香、森島峰が、東京に二葉幼稚園を設立。
保母として、徳永恕が勤務しました
感化法の制定。
この法律によって、感化院は法に規定される児童施設となりました
1908 明治41
  • 感化法の改正が行われ、感化院の府県での設置が義務となりました
  • 現在の全国社会福祉協議会の前身である中央慈善協会が設立され、初代会長には渋沢栄一が就任しました
1909 明治42 脇田良吉が、知的障害児の教育施設である白川学園を設立
1911 明治44 わが国初の本格的な労働保護立法である工場法が公布
1917 大正6 岡山県知事の笠井信一創案の防貧対策である済世顧問制度(地域の貧しい人の相談にのる制度)が創設
1918 大正7 大阪府知事の林市蔵小河滋次郎方面委員制度を創設しました。
この制度は現在の民生委員制度の前身です
1921 大正10 柏倉松蔵が、肢体不自由児の施設であるクリュッペルハイム柏学園を設立
1929 昭和4 救護法が制定。
公的扶助として、生活扶助、医療扶助、助産扶助、生業扶助が規定されましたが、対象者は65歳以上の老衰者、13歳以下の児童、妊産婦、障害のある者などで、労働ができない者に制限
1933 昭和8
  • 感化法が改正され、少年教護法と改称。
    これにより、感化院の名称が少年教護院となりました
  • 同時に児童虐待防止法(旧)が制定
1937 昭和12 母子保護法が制定
1938 昭和13 厚生省が設立
1942 昭和17 高木憲次が、肢体不自由児施設である東京整肢療護園を開設
1946 昭和21
  • 糸賀一雄が、知的障害児の施設である近江学園を設立。
  • この施設では「この子らを世の光に」を理念としました
  • GHQによる公的扶助に関する覚書(社会救済に関する覚書)により、無差別平等、公私分離、国家責任における救済、無制限の救済という公的扶助の4つの基本原則を示した
  • 日本国憲法の制定
1947 昭和22 児童福祉法が制定。
この法律での児童福祉施設は、助産施設、乳児院、母子寮、保育所、児童厚生施設、養護施設、精神薄弱児施設、療育施設、教護院の9施設です。
この法律では、里親制度が社会的養護として規定された
1948 昭和23
  • 社会保障制度審議会の発足
  • 「少年法」「民生委員法」の制定
  • 厚生省による調査「全国孤児一斉調査」により、18歳以下の孤児が12万3,000人いることが報告されました
1949 昭和24 身体障害者福祉法の制定
1950 昭和25
  • 堀文次が「養護理論確立への試みーホスピタリズムの解明と対策」を発表しました。
    これにより、ホスピタリズム論争が起こりました。
    これを契機として、施設においては、家庭的養護を検討するとともに、施設の小規模化やグループホームの実践へと移行していくことになりました
  • 生活保護法の施行が行われました
1951 昭和26
  • 社会福祉事業法が制定
  • 現行の「社会福祉法」のことで、1951年に制定され、2000年に現在の名称へと改称
  • 児童憲章の制定
1956 昭和31 「売春防止法」の制定
1958 昭和33 「国民健康保険法」の制定
1959 昭和34 「国民年金法」の制定
1960 昭和35 精神薄弱者福祉法(現行の知的障害者福祉法)の制定
1961 昭和36 「児童扶育手当法」の制定
1963 昭和38
  • 糸賀一雄が、重症心身障害児の施設であるびわこ学園を設立
  • 児童福祉白書において、児童の危機的状況が指摘された
  • 中央児童福祉審議会家庭対策に関する中間報告において、児童と家庭を一体として把握する方向性が示された
  • 老人福祉法の制定
1964 昭和39
  • 母子福祉法の制定(現行の「母子及び父子並びに寡婦福祉法」)
  • 「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」の制定
1965 昭和40 母子保健法の制定
1970 昭和45 「心身障害者対策基本法」の制定(1993年に現行の「障害者基本法」に改称)
1971 昭和46 「児童手当法」の制定
1979 昭和54
  • 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」が国連で採択(女子差別撤廃条約)
  • 日本は1985年(昭和60)年に批准
  • 国際児童年となりました
1981 昭和56 国際障害者年となりました
1982 昭和57 老人保健法の制定(現行の「高齢者の医療の確保に関する法律」)
1985 昭和60 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の制定(男女雇用機会均等法)
1987 昭和62 「社会福祉士及び介護福祉士法」の制定
1989 平成元 「児童の権利に関する条約」が国連で採択
日本は1994年(平成6)年に批准しました
1991 平成3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の制定(育児・介護休業法)が行われました
1997 平成9 介護保険法の制定。
なお、実際の施行は2000(平成12)年となります
1999 平成11 児童買春・児童ポルノ禁止法
2000 平成12
  • 「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」の改正により、社会福祉法に改称
  • 児童虐待の防止等に関する法律の制定
2001 平成13 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)の制定
2003 平成15
  • 「個人情報の保護に関する法律」の制定(個人情報保護法)
  • 次世代育成支援対策推進法の制定
  • 少子化社会対策基本法の制定
2004 平成16 発達障害者支援法の制定
2005 平成17
  • 障害者自立支援法の制定
  • 現行の「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法に2012年に改称
  • 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の制定
2006 平成18
  • 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の制定(バリアフリー法)
  • 「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の制定(認定こども園法
  • 障害者の権利に関する条約」が国連で採択
  • 日本は2014(平成26)年に批准
2009 平成21 子ども・若者育成支援推進法の制定
2011 平成23 「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」の制定
2012 平成24
  • 社会保障制度改革推進法の制定
  • 子ども・子育て支援法の制定
2013 平成25 生活困窮者自立支援法の制定。
子どもの貧困対策の推進に関する法律の制定(子どもの貧困対策法)が行われました。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の制定
2015 平成27
  • 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)の制定
  • 「公認心理師法」の制定
2016 平成28 「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」の制定
2018 平成30
  • 「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律」(ユニバーサル社会実現推進法)の制定
  • 「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(成育基本法)の制定
2021 令和3 「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の制定
2022 令和4
  • こども基本法」の制定。
    施行は2023(令和5)年4月1日
  • 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(困難女性支援法)の制定。
    施行は2024(令和6)年4月1日
2023 令和5
  • 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の制定
  • 「孤独・孤立対策推進法」「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の制定(施行はいずれも2024年)

14-2海外の社会福祉の歴史

イギリス

西暦 内容
1601 エリザベス救貧法が制定。
この法律では、救済の対象である貧民を「労働可能な貧民」「労働不能な貧民」「扶養が保障されない児童」の3種類に分類しました
1798 マルサスが『人口論』を公表し、労働者の貧困の原因を労働者自身の責任(自己責任)とみなしました
1834 新救貧法が制定。
この法律では、均一処遇(救済内容は一律)、院内保護(収容して救済する)、劣等処遇(救済内容は最低限の生活レベル以下にする)の3つの原則が重視されました。
児童のための施設として孤児院が作られました
1869 慈善組織協会が設立され、慈善組織化運動(COS運動)が開始されました
1870 浮浪児の施設として、バーナードがバーナードホームを設立。
この施設は小舎制を採用し、里親委託も行いました
1884 バーネット夫妻を中心に、セツルメント・ハウスであるトインビー・ホールを開設しました
1889 ブースが1889〜1903年にかけ、『ロンドン市民の生活と労働』という調査報告書を公表。
生活必需品を購入できる最低限の収入を表す指標である貧困線という概念を示しました
1899 ラウントリーによる、第1次ヨーク調査(イギリス北部・ヨークの貧困層の生活状態の調査)が実施
1901 ラウントリーが『貧困―都市生活の研究』という報告書を公表しました
1908 イギリス初の児童法が制定。
要保護児童の保護と非行少年の処遇を統合するもので、この法律で里子の保護、虐待防止、非行犯罪少年について規定しました
1942 ベヴァリッジ報告(社会保険および関連サービス)が提出されました。
「ゆりかごから墓場まで」を理念に、国家が国民の生活保障を行う福祉国家の必要性が述べられています。
また、社会生活を脅かす5つの巨人(貧困・疾病・不潔・無知・怠惰)を解消することが社会保障の目的であるとされました
1946 カーチス報告が提出(虐待されている児童、里親など、児童に関する内容)
1968 シーボーム報告が提出。
地方自治体の福祉サービスを整備する内容です
1978 ウォルフェンデン報告が提出。
福祉サービスには、インフォーマル部門(家族やボランティアなど)やボランタリー部門などがあることを示しました
1982 バークレイ報告が提出。
ソーシャルワークと社会的ケア計画を統合したコミュニティソーシャルワークを提唱しました
1988 グリフィス報告が提出。
コミュニティケアについて示しました
1999 トニー・ブレア首相によりシュア・スタートが開始。
貧困世帯の就学前の子どもと家族を対象とした早期介入施策です

アメリカ

1889 社会事業家のジェーン・アダムズがシカゴにハル・ハウスを設立
1909 セオドア・ルーズベルト大統領のもとで、第1回児童福祉ホワイトハウス会議(児童福祉白亜館会議)が開催。
この会議では、児童を家庭から引き離さない援助制度や、里親委託の優先、施設の小舎制の検討などが討論されました
1935 社会保障法」が制定。
この法律には、児童家庭福祉施策が国の課題として盛り込まれました
1964 低所得者への食糧費補助制度である「フードスタンプ法」が制定
1965 貧困撲滅施策の一環として、低所得家庭の就学前の子どもに対し、教育・医療・栄養などのサービスを提供し、子どもの発達を保障する施策であるヘッドスタート計画が実施
2010 ユニバーサルヘルスケア制度である「医療化保険改革法(オバマケア)」が制定