32-1第2章 ねらい及び内容

この章に示すねらいは、幼稚園教育において育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたものであり、内容は、ねらいを達成するために指導する事項である。
各領域は、これらを幼児の発達の側面から、心身の健康に関する領域「健康」、人との関わりに関する領域「人間関係」、身近な環境との関わりに関する領域「環境」、言葉の獲得に関する領域「言葉」および感性と表現に関する領域「表現」としてまとめ、示したものである。
内容の取扱いは、幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項である。
各領域に示すねらいは、幼稚園における生活の全体を通じ、幼児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連をもちながら次第に達成に向かうものであること、内容は、幼児が環境に関わって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない。
また、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が、ねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であることを踏まえ、指導を行う際に考慮するものとする。
なお、特に必要な場合には、各領域に示すねらいの趣旨に基づいて適切な、具体的な内容を工夫し、それを加えても差し支えないが、その場合には、それが第1章の第1に示す幼稚園教育の基本を逸脱しないよう慎重に配慮する必要がある。

(※保育所保育指針の第2章とよく似た内容となっていましたね。読み比べてみると理解が深まります。)

健康

健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う〕

① ねらい

  • (1)明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
  • (2)自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
  • (3)健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する。

② 内容

  • (1)先生や友達と触れ合い、安定感をもって行動する。
  • (2)いろいろな遊びの中で十分に体を動かす
  • (3)進んで戸外で遊ぶ。
  • (4)様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。
  • (5)先生や友達と食べることを楽しみ、食べ物への興味や関心をもつ。
  • (6)健康な生活のリズムを身に付ける。
  • (7)身の回りを清潔にし、衣服の着脱、食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする
  • (8)幼稚園における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。
  • (9)自分の健康に関心をもち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
  • (10)危険な場所、危険な遊び方、災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。

③ 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  • (1)心と体の健康は、相互に密接な関連があるものであることを踏まえ、幼児が教師や他の幼児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として、しなやかな心と体の発達を促すこと。
    特に、十分に体を動かす気持ちよさを体験し、自ら体を動かそうとする意欲が育つようにすること。
  • (2)様々な遊びの中で、幼児が興味や関心能力に応じて全身を使って活動することにより、体を動かす楽しさを味わい、自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。
    その際、多様な動きを経験する中で、体の動きを調整するようにすること。
  • (3)自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより、体の諸機能の発達が促されることに留意し、幼児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。
    その際、幼児の動線に配慮した園庭や遊具の配置などを工夫すること。
  • (4)健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏まえ、幼児の食生活の実情に配慮し、和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさを味わったり、様々な食べ物への興味や関心をもったりするなどし、食の大切さに気付き、進んで食べようとする気持ちが育つようにすること。
  • (5)基本的な生活習慣の形成に当たっては、家庭での生活経験に配慮し、幼児の自立心を育て、幼児が他の幼児と関わりながら主体的な活動を展開する中で、生活に必要な習慣を身に付け、次第に見通しをもって行動できるようにすること。
  • (6)安全に関する指導に当たっては、情緒の安定を図り、遊びを通して安全についての構えを身に付け、危険な場所や事物などが分かり、安全についての理解を深めるようにすること。
    また、交通安全の習慣を身に付けるようにするとともに、避難訓練などを通して、災害などの緊急時に適切な行動がとれるようにすること。

人間関係

〔他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う〕

① ねらい

  • (1) 幼稚園生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  • (2) 身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ。
  • (3) 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。

② 内容

  • (1) 先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
  • (2) 自分で考え、自分で行動する。
  • (3) 自分でできることは自分でする。
  • (4) いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
  • (5) 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う
  • (6) 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
  • (7) 友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。
  • (8) 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。
  • (9) よいことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。
  • (10) 友達との関わりを深め、思いやりをもつ。
  • (11) 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き、守ろうとする
  • (12) 共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う。
  • (13) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深い変化いろいろな人に親しみをもつ。

③ 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  • (1) 教師との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人と関わる基盤となることを考慮し、幼児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し、試行錯誤しながら諦めずにやり遂げることの達成感や、前向きな見通しをもって自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう、幼児の行動を見守りながら適切な援助を行うようにすること。
  • (2) 一人一人を生かした集団を形成しながら人と関わる力を育てていくようにすること。
    その際、集団の生活の中で、幼児が自己を発揮し、教師や他の幼児に認められる体験をし、自分のよさや特徴に気付き、自信をもって行動できるようにすること。
  • (3) 幼児が互いに関わりを深め、協同して遊ぶようになるため、自ら行動する力を育てるようにするとともに、他の幼児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうことができるようにすること。
  • (4) 道徳性の芽生えを培うに当たっては、基本的な生活習慣の形成を図るとともに、幼児が他の幼児との関わりの中で他人の存在に気付き、相手を尊重する気持ちをもって行動できるようにし、また、自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。
    特に、人に対する信頼感思いやりの気持ちは、葛藤やつまづきをも体験し、それらを乗り越えることにより次第に芽生えてくることに配慮すること。
  • (5) 集団の生活を通して、幼児が人ととの関わりを深め、規範意識の芽生えが培われることを考慮し、幼児が教師との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で、互いに思いを主張し、折り合いを付ける体験をし、きまりの必要性などに気付き、自分の気持ちを調整する力が育つようにすること。
  • (6) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深い変化いろいろな人と触れ合い、自分の感情や意志を表現しながら共に楽しみ、共感し合う体験を通して、これらの人々などに親しみをもち、人と関わることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。
    また、生活を通して親や祖父母などの家族の愛情に気付き、家族を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。

環境

〔周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う〕

① ねらい

  • (1) 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
  • (2) 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。
  • (3) 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。

② 内容

  • (1) 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
  • (2) 生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
  • (3) 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
  • (4) 自然などの身近な事象に関心をもち、取り入れて遊ぶ
  • (5) 身近な動植物に親しみをもって接し、生命の尊さに気付き、いたわったり、大切にしたりする。
  • (6) 日常生活の中で、我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。
  • (7) 身近な物を大切にする。
  • (8) 身近な物や遊具に興味をもって関わり、自分なりに比べたり、関連付けたりしながら考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
  • (9) 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
  • (10) 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。
  • (11) 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
  • (12) 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。

③ 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  • (1) 幼児が、遊びの中で周囲の環境と関わり、次第に周囲の世界に好奇心を抱き、その意味や操作の仕方に関心をもち、物事の法則性に気付き、自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。
    また、他の幼児の考えなどに触れて新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい、自分の考えをよりよいものにしようとする気持ちが育つようにすること。
  • (2) 幼児期において自然のもつ意味は大きく、自然の大きさ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通して、幼児の心が安らぎ、豊かな感情、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われることを踏まえ、幼児が自然との関わりを深めることができるよう工夫すること。
  • (3) 身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い、共感し合うことなどを通して自分から関わろうとする意欲を育てるとともに、様々な関わり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念、生命を大切にする気持ち、公共心、探究心などが養われるようにすること。
  • (4) 文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて、社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。
  • (5) 数量や文字などに関しては、日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし、数量や文字などに関する興味や関心、感覚が養われるようにすること。

言葉

〔経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う〕

① ねらい

  • (1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  • (2) 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
  • (3) 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、先生や友達と心を通わせる。

② 内容

  • (1) 先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち、親しみをもって聞いたり、話したりする。
  • (2) したり、見たり、聞いたり、感じたり、考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
  • (3) したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。
  • (4) 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
  • (5) 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。
  • (6) 親しみをもって日常の挨拶をする。
  • (7) 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
  • (8) いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
  • (9) 絵本や物語などに親しみ、興味をもって聞き、想像をする楽しさを味わう。
  • (10) 日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。

③ 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  • (1) 言葉は、身近な人に親しみをもって接し、自分の感情や意志などを伝え、それにお相手が応答し、その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して、幼児が教師や他の幼児と関わることにより心を動かされるような体験をし、言葉を交わす喜びを味わえるようにすること。
  • (2) 幼児が自分の思いを言葉で伝えるとともに、教師や他の幼児などの話を興味をもって注意して聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき、言葉による伝え合いができるようにすること。
  • (3) 絵本や物語などで、その内容と自分の経験とを結び付けたり、想像を巡らせたりするなど、楽しみを十分に味わうことによって、次第に豊かなイメージをもち、言葉に対する感覚が養われるようにすること。
  • (4) 幼児が生活の中で、言葉の響きやリズム、新しい言葉や表現などに触れ、これらを使う楽しさを味わえるようにすること。
    その際、絵本や物語に親しんだり、言葉遊びなどをしたりすることを通して、言葉が豊かになるようにすること。
  • (5) 幼児が日常生活の中で、文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい、文字に対する興味や関心をもつようにすること。

表現

〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする〕

① ねらい

  • (1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
  • (2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  • (3) 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。

② 内容

  • (1) 生活の中で様々な音、形、色、手触り、動きなどに気付いたり、感じたりするなどして楽しむ。
  • (2) 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ、イメージを豊かにする。
  • (3) 様々な出来事の中で、感動したこと伝え合う楽しさを味わう。
  • (4) 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由に描いたり、つくったりなどする。
  • (5) いろいろな素材に親しみ、工夫して遊ぶ。
  • (6) 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
  • (7) 描いたり、つくったりすることを楽しみ、遊びに使ったり、飾ったりなどする。
  • (8) 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。

③ 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  • (1) 豊かな感性は、身近な環境と十分に関わる中で美しいもの、優れたもの、心を動かす出来事などに出会い、そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し、様々に表現することなどを通して養われるようにすること。
    その際、風の音や雨の音、身近にある草や花の形や色など自然の中にある音、形、色などに気付くようにすること。
  • (2) 幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので、教師はそのような表現を受容し、幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて、幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
  • (3) 生活経験や発達に応じ、自ら様々な表現を楽しみ、表現する意欲を十分に発揮させることができるように、遊具や用具などを整えたり、様々な素材や表現の仕方に親しんだり、他の幼児の表現に触れられるよう配慮したりし、表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること。

32-2第3章 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項

地域の実態や保護者の要請により、教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動については、幼児の心身の負担に配慮するものとする。
また、次の点にも留意するものとする。

  • (1) 教育課程に基づく活動を考慮し、幼児期にふさわしい無理のないものとなるようにすること。
    その際、教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図るようにすること。
  • (2) 家庭や地域での幼児の生活も考慮し、教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画を作成するようにすること。
    その際、地域の人々と連携するなど、地域の様々な資源を活用しつつ、多様な体験ができるようにすること。
  • (3) 家庭との緊密な連携を図るようにすること。
    その際、情報交換の機会を設けたりするなど、保護者が、幼稚園と共に幼児を育てるという意識が高まるようにすること。
  • (4) 地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活のリズムを踏まえつつ、例えば実施日数や時間などについて、弾力的な運用に配慮すること。
  • (5) 適切な責任体制と指導体制を整備した上で行うようにすること。

幼稚園の運営に当たっては、子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して、園内体制の整備や関係機関との連携および協力に配慮しつつ、幼児期の教育に関する相談に応じたり、情報を提供したり、幼児と保護者との登園を受け入れたり、保護者同士の交流の機会を提供したりするなど、幼稚園と家庭が一体となって幼児に関わる取組を進め、地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たすよう努めるものとする。
その際、心理や保健の専門家、地域の実触れ合い子育て経験者等と連携・協働しながら取り組むよう配慮するものとする。