4-1保育所保育に関する基本原則

保育所の役割

保育所は児童福祉法に基づき保育を必要とする児童の保育を行い、健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設です。

入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に邁進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。

保育所はその目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携のもとに、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。

保育所は入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源と連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て、家庭に対する支援などを担うものである。

保育士は児童福祉法に踏まえ、保育所の役割及び機能が発揮されるように、倫理感に裏付けられた専門的知識、技術、判断を持って子どもを保育すること。
子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うもの。
その職責を遂行するために専門性の向上に努めなければならない。

保育の目標

保育所は子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大部分を過ごす場である。
このため、子どもが現在を最もよく生き、望ましい未来を作り、力の基礎を養うために、次の目標を目指して行わなければならない。

  1. 十分に養護の行き届いた環境のもとにくつろいだ雰囲気の中で、子どもの様々な欲求を満たし、生命の保持情緒の安定を図ること。
  2. 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと。
  3. 人に対する愛情と信頼感人権を大切にする心を育てる。
    自主、自立、協調の態度を養い、道徳性を培うこと。
  4. 生命、自然、社会の事象について、興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと。
  5. 生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと。
  6. 様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと。

保育所は入所する子どもの保護者に対し、その意向を受け止め、子どもと保護者の安定した関係に配慮し、保育所の特性や保育士の専門性を活かして、その支援に当たらなければならない。

保育の方法

保育の目標を達成するために、次の事項を留意する。

  1. 一人ひとりの子どもの状況や、家庭、地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。
  2. 子どもの生活リズム大切にし、健康・安全で情緒の安定した生活できる環境や自己を十分に発揮できる環境を整えること。
  3. 子どもの発達について理解し、一人ひとりの発達過程に応じて保育すること。
    その際、子どもの個人差に十分配慮すること。
  4. 子どもの相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるよう援助すること。
  5. 子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。
  6. 乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。
  7. 一人ひとりの保護者の状況やその意向を理解・受容し、それぞれの親子関係や家庭生活に配慮しながら、様々な機会を適切に援助すること。

保育の環境

保育の環境には、保育士や子どもの人的環境、施設や道具などの物的環境、さらには自然や社会の事象などがある。
保育所は、人、物、場などの環境が相互に関連しあい、子どもの生活が豊かなものとなるよう計画的に環境を構成し、工夫をしなければならない。

  1. 子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。
  2. 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保険的環境や安全の確保などに努めること。
  3. 保育室が温かな親しみとくつろぎの場となること。
    生き生きと活動できる場となるように配慮すること。
  4. 子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。

保育所の社会的責任

  1. 保育所は子どもの人権に十分に配慮するとともに、子ども一人ひとりの人格を尊重して保育を行わなければならない。
  2. 保育所は、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に当該する保育所が、保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
  3. 保育所は、入所する子どもの個人情報を適切に取り扱うとともに、保護者の苦情等にも対しとの解決を図るよう努めなければならない。

4-2擁護に関する基本原則

擁護の概念は、保育所保育独特なものです。
「生命の保持」「情緒の安定」とはどういうものか、具体的にこれらを踏まえてどのような保育を展開していくのかを学ぶ。

擁護の理念

保育における擁護とは、子どもの生命の保持、情緒の安定を図るために、保育士が行う援助や関わりである。
保育所における保育は養護及び教育を一体的に行うことをその特性とするものである。
保育所における保育全体を通して、養護に関する狙い、内容を踏まえた保育が展開されなければならない

保育所は児童福祉法に基づき保育を必要とする児童の保育を行い、健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設です。

入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に邁進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。

擁護に関わる狙い・内容

生命の保持

- 狙い -

  1. 一人ひとりの子どもが、快適に生活できるようにする。
  2. 一人ひとりの子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。
  3. 一人ひとりの子どもの、生理的欲求が十分に満たされるようにする。
  4. 一人ひとりの子どもの、健康増進が積極的に図られるようにする。

- 内容 -

  1. 一人ひとりの子どもの、平常の健康状態発育、発達状態を的確に把握し、異常を感じる場合は速やかに適切に対応する。
  2. 家庭との連携を密にし、嘱託医との連携を図りながら、子どもの疾病や事故防止に関する認識を深め、保健的で安全な保育環境の維持及び向上に努める。
  3. 清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的に関わりを通して子どもの生理的欲求を満たしていく。
  4. 家庭と協力しながら、子どもの発達過程などに応じた適切な生活のリズムが作られていくようする。
  5. 子どもの発達過程などに応じて、過度な運動と休息を取ることができるようにする。
  6. 食事、排泄、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることについて、子どもが意欲的に生活できる適切に援助する。

情緒の安定

- 狙い -

  1. 一人ひとりの子どもが、安定感をもって過ごせるようにする。
  2. 一人ひとりの子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
  3. 一人ひとりの子どもが、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれて行くようする。
  4. 一人ひとりの子どもが、くつろいで共に過ごし、心身の疲れが癒されるようにする。

- 内容 -

  1. 一人ひとりの子どもの置かれている状態や発達過程などを的確に把握し、子どもの欲求を適切に満たしながら、応答的な触れ合いや言葉掛けを行う。
  2. 一人ひとりの子どもの気持ちを受容し、共感しながら子どもとの継続的な信頼関係を築いていく。
  3. 保育士との信頼関係を基盤に、子どもが主体的に活動し、自発性や探索意欲などを高めるとともに、自分への自信を持つことができるよう成長の過程を見守り、適切に働きかける。
  4. 一人ひとりの子どもの生活リズム、発達過程、保育時間などに応じて、活動内容のバランスや調和を図りながら、適切な食事や休息が取れるようにする。

4-3保育の計画・評価

具体的にどのように作成し、誰がどのような評価を行うのか、その評価は義務なのか。
単なる暗記でなく、仕組みを理解しましょ。
保育の計画には「全体的な計画」と「指導計画」があります。
その違いを理解しましょ。

全体的な計画の作成

  1. 各保育所の保育の方針や目標に基づき、保育の目標を達成するために、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して、総合的に展開されるよう全体的な計画を作成しなければならない。
  2. 全体的な計画は、子どもや家庭の状況、地域の実態、保育時間などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しを持って適切に作成しなければならない。
  3. 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保育計画、食育計画などを通して、各保育所が創意工夫して保育できるよう作成しなければならない。

指導計画の作成

  1. 保育所は全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。
  2. 指導計画の作成にあたっては、第2章(総則)やその他の関連する事項に示された、子ども一人ひとりの発達過程や状況を十分に踏まえるとともに、下記の事項に留意しなければならない。
    • 3歳未満については、一人ひとりの子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態などに即して、個別的な計画を作成すること。
    • 3歳以上については、個の成長と子どもの相互の関係や共同的な活動が促されるよう配慮すること。
    • 異年齢で構成される組やグループでの保育においては、一人ひとりの子どもの生活や経験、発達過程などを把握し、適切な援助や環境構成ができるよう配慮すること。
  3. 計画指導においては、保育所の生活における子どもの発達過程を見通し、生活の連続性、季節の変化などを考慮し、子どもの実態に即した、具体的な狙い・内容を設定すること。
  4. 具体的な狙いが達成されるよう、子どもの生活する姿や発想を大切にして、適切な環境を構成し、子どもが主体的に活動できるようにすること。
  5. 1日の生活リズムや在園時間が異なる子どもが共に過ごすことを踏まえ、活動と休息、緊張感と解放感など、調和を図るよう配慮する。
  6. お昼寝は生活リズムの構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は、子どもの発達の状況や個人差があるため、一律とならないよう配慮する。
  7. 長時間にわたる保育については、子どもの発達過程、生活のリズム、心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置づけること。
  8. 障害がある子どもの保育については、一人ひとりの子どもの発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で障害がある子どもが他の子どもと生活を通して共に成長できるよう指導計画の中に位置づけること。
  9. 子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなどの対応も図ること。

保育の計画は、対象者や実施される保育の時間帯によっても変わります。

指導計画の展開

  1. 施設長、保育士、全職員に適切な役割分担と協力体制を整えること。
  2. 子どもが行う具体的な活動は、生活の中で様々に変化することに留意して、子どもが望ましい方向に向かって自ら活動を展開できるよう援助を行うこと。
  3. 子どもの主体的な活動を促すためには、保育士が多様な関わりを持つことが重要であることを踏まえ、子どもの情緒の安定や発達に必要な豊かな体験が得られるよう援助すること。
  4. 保育士は、子どもの実態や子どもを取り巻く、状況の変化などに即して保育の過程を記録するとともに、これを踏まえ、指導計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図ること。

保育内容などの評価

保育士の自己評価

  1. 保育士は保育の計画や保育の記録を通して、自ら保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない。
  2. 保育士による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。
  3. 保育士は自己評価における自らの保育実践の振り返りや、職員相互の話し合いを通して、専門性の向上及び保育の質の向上のため課題を明確にする。
  4. 保育所全体の保育のないように関する認識を深めること。

保育所の自己評価

  1. 保育所は保育の質の向上を図るため保育園の計画の展開や保育士の自己評価を踏まえ、当該保育所の保育の内容について自ら評価を行い、その結果を公表する努めをしましょ。
  2. 保育所が自己評価を行うにあたっては、地域の実情や保育所の実態に即して、適切に評価の観点や項目などを設定し、全職員による共通理解を持って取り込むよう留意すること。
  3. 設備運営基準法の趣旨に踏まえ、保育の内容の評価に関し、保護者、地域住民の意見を聞くことが望ましい。

評価を踏まえた計画の改善

  1. 保育所は評価の結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容の改善を図ること。
  2. 保育の計画に基づく保育の内容の評価、これに基づく改善と言う一連の取り組みにより、保育の質の向上が図れるよう、全職員が共通理解を持って取り組むことに留意すること。

4-4幼児教育を行う施設として共有すべき事項

「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定子ども園教育・保育要領」と共通になっている。
試験では、育みたい資質・能力の項目と文章、組み合わせ、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の項目と文章の組み合わせが頻出です。

育みたい資質・能力

  1. 保育所においては、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、保育の目標を踏まえ、次に掲げる資質・能力を一体的に育むよう努めるものとする。
    • 豊かな体験を通して感じたり、気づいたり、わかったり、できるようになったりする「知識及び技能の基礎」
    • 気づいたことやできるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力、判断力、表現力の基礎」
    • 心情、意欲、態度が育つ中でより良い生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性」
  2. (a)に示す資質・能力は、第2章に示す「狙い及び内容に基づく保育活動」全体によって育むものである。

幼児期の終わりまでに育って欲しい姿

第2章に示す保育活動全体を通して、資質・能力が育まれている子供の小学校就学時の具体的な姿であり、保育士が指導を行う際に考慮するものである。

  1. 健康な心と体
    保育所の生活の中で、充実感を持って自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ見通しを持って行動し、自ら健康で安全な生活を作り出すようになる。
  2. 自立心
    身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信を持って行動するようになる。
  3. 協同制
    友達と関わる中で、互いの思いやりや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感を持ってやり遂げるようになる。
  4. 道徳性・規範意識の芽生え
    友達と様々な体験を重ねる中で、して良いことや悪いことがわかり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。
    また、決まりを守る必要性がわかり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いをつけながら決まりを作ったり、守ったりするようになる。
  5. 社会生活との関わり
    家族を大切にしようとする気持ちを持つとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気づき、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみを持つようになる。
    また、保育所内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝えあったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりを意識するようになる。
  6. 思考力の芽生え
    身近な事象に積極的に関わる中で、物の性質の仕組みなどを感じ取ったり、気づいたり、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様な関わりを楽しむようになる。
    また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気づき、自ら判断したり、考え、直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをより良いものにするようになる。
  7. 自然との関わり・生命尊重
    自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探究心を持って考え、言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念を持つようになる。
    また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気づき、身近な動植物の接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちを持って関わるようになる。
  8. 数量・図形・標識・文字への関心・感覚
    遊びや生活の中で数量・図形・標識・文字に親しむ体験を重ねたり、標識を文字の役割に気づいたりし、自らの必要感に基づきこれを活用し、興味や関心感覚を持つようになる。
  9. 言葉による伝え合い
    保育士や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。
  10. 豊かな感性と表現
    心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気づき、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい意欲を持つようになる。