14-1代表的な感染症と予防接種

保育現場では、乳幼児の特性を踏まえた「保育所における感染症対策ガイドライン」に基づいた対応が求められます。

保育所における感染症対策ガイドライン

感染 ウイルスや細菌等の病原体が、宿主の体内に侵入し、発育または増殖すること
感染症 感染の結果、何らかの臨床症状が現れた状態のこと
潜伏期間 病原体が体内に侵入してから症状が現れるまでの期間
乳幼児の
年齢
感染症の発生や症状の重さに大きな影響を与える要因となります
感染症成立の
三大要因
  • 感染源:病原体を排出するもの。
  • 感染経路:病原体が宿主に伝播するルート。
  • 感受性が存在する宿主:病原体に対する抵抗力が弱く、感染した場合に発症する可能性がある個体。

感染症を防ぐための対策

感染源への対策 病原体の付着や増殖を防ぐ
感染経路への対策 経路を断つ
感受性への対策 予防接種を受けて感受性のある状態をできる限り早く解消する
  1. 「感染」と「感染症」を混同しないようにすることですわ💖
    感染 = 体内で増えること。 感染症 = 症状が現れた状態。
  2. 「感染を成立させる3つの要素」を完璧に暗記することですわ💖
    1.感染源、2. 感染経路、3. 感受性が存在する宿主
    この3つが揃わない限り、感染症は成立しません。
  3. 「感受性が存在する」という言葉を正しく理解することですわ💖
    「感受性がある=かかりやすい」と脳内で変換して、それを防ぐために予防接種で感受性をなくす(=免疫をつける)、という流れで言葉を繋げましょう。

14-2感染経路

病原体が宿主に伝播するルートには、主に以下の6つがあります。

保育所における感染症対策ガイドライン

飛沫感染 くしゃみや咳で飛んだしぶきを吸い込むことでうつります。
  • 経路:しぶき(飛沫)そのものを吸い込むのが特徴です。
  • 距離の目安:1〜2m
  • 原因:インフルエンザ、RSウイルス、おたふくかぜ(ムンプス)など
空気感染
(飛沫核感染)
飛沫の水分が乾いて、もっと小さくなった「芯(飛沫核)」が空気中をふわふわ漂い、それを吸い込んでうつります。
  • 経路:空気の流れによって広範囲に拡散します。
  • 距離の目安:2m以内ですが、密閉された室内では全体に広がります。
  • 原因:麻しん(はしか)、水痘(水ぼうそう)、結核菌
接触感染 直接触れたり、汚れた物に触れたりしてうつります。
  • 経路:握手などの直接触れるものと、ドアノブなどを介した間接接触があります。
  • 注意:触れただけでは成立せず、病原体が体内に侵入することで感染します。
  • 原因:ノロウイルス、ロタウイルス、黄色ブドウ球菌など
経口感染
  • 経路:バイ菌がついた食べ物や飲み物を口にすることにより、病原体が消化管に達することで感染します。
  • 原因:O-157、サルモネラ、ノロウイルスなど
血液媒介感染
  • 経路:血液を介して体内に侵入します。
  • 原因:B型・C型肝炎、HIV(エイズ)など
蚊媒介感染 蚊に刺されたことでうつります。
  • 経路:病気を持っている蚊に刺されることでうつります。
  • 原因:日本脳炎、デング熱、マラリア(原虫)など
  1. 「飛沫」と「空気」を混同しないようにすることですわ💖
    飛沫感染 = 1〜2m 以内 空気感染 = 空気の流れ
    「飛沫感染は2m以上離れれば防げるが、空気感染は部屋全体に広がる」という違いを正確に選べるようにしましょう
  2. 「どこを通って感染するか」を脳内で変換することですわ💖
    消化管 = 経口感染(食べ物や水と一緒に口から入る)。
    体内に侵入すること = 接触感染(皮膚についただけでは成立しない)。
  3. ノロウイルスなどの接触・経口感染は、保育現場で最も集団発生しやすいリスクですわ💖
    特に乳幼児は指しゃぶりや玩具の共有が多いため、間接接触への対策が重要であることを理解しましょう。

14-3主な感染症

麻しん(はしか)

特徴 口の中に白い斑点のコプリック斑が現れます。
発しんは色素沈着を残して消えるのがポイント。
感染力が極めて強く、ほぼ100%の人が感染する。
空気感染するのが最大の特徴
潜伏期間 8〜12日
登園の目安 解熱後3日を経過していること

風しん

特徴 「3日はしか」とも呼ばれ、麻しんよりは症状が軽いことが多い。
全身に紅斑が出ますが、麻しんと違って色素沈着も残さないのが特徴です。
感染力が極めて強く、ほぼ100%の人が感染する。
空気感染するのが最大の特徴
潜伏期間 16〜18日
登園の目安 発しんが消失していること

水痘(水ぼうそう)

特徴 麻しんと並んで感染力が非常に強く、空気感染もします。
赤い丘しんから始まり、水疱(水ぶくれ)、最後は痂皮(かさぶた)へと変化します。
色々な段階の発しんが混ざるのが特徴
潜伏期間 14〜16日
登園の目安 すべての発しんが痂皮化(かさぶたになる)していること

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)

特徴 耳の下やあごの下にある唾液腺が腫れて痛むのが特徴。
唾液腺の腫脹が主な症状で、唾液が出るときに痛みが増します
潜伏期間 16〜18日
登園の目安 腫れが現れてから5日経過し、かつ全身状態が良好であること

咽頭結膜熱(プール熱)

特徴 夏季に流行しやすく、アデノウイルスが原因。
高熱、のどの痛み、結膜炎(目の充血)が三大症状。
タオルなどの共有は厳禁であることも、現場視点の知識として大切です
潜伏期間 2〜14日
登園の目安 主な症状が消えた後、2日を経過していること
  1. 麻しんコプリック斑」と登園目安の「熱が下がってから3日」が非常によく出ますわ💖
  2. 風しん紅斑」と「色素沈着を残さない」「発しんが消えれば登園OK」ですわ💖
  3. 水痘(水ぼうそう)は痂皮化(かさぶた)が登園の絶対条件。
    一つでも水ぶくれが残っていたらダメ。
  4. おたふくかぜ = 腫れてから5日経過。
  5. プール熱 = 症状が消えてから2日。

百日咳(ひゃくにちぜき)

特徴 特有な咳(コンコンと咳き込んだ後に、ヒューと笛を吹くような音で息を吸うもの)が連続して起こります
潜伏期間 7〜10日
登園の目安 特有な咳が消失していること、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了していること

手足口病(てあしくちびょう)

特徴 その名の通り、手・足・口に症状が出るウイルス性の感染症。
口腔粘膜や手足の末端に水疱性発しんが生じます。
口腔内にも水ぶくれができるので、食欲が落ちやすい
潜伏期間 3〜6日
登園の目安 発熱や口の中の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること

伝染性紅斑(リンゴ病)

特徴 ほっぺたがリンゴのように赤くなる、可愛らしい名前の病気。
両側頬部に孤立性淡紅色斑丘しん(ふくらみのあるブツブツ)が現れ、それがつながって蝶が羽を広げたような赤い斑(蝶翼状紅斑)になります。
妊婦に感染すると、胎児に影響があるため注意が必要です
潜伏期間 4〜14日
登園の目安 全身状態が良いこと。

ヘルパンギーナ

特徴 夏風邪の代表格で、のどの奥に強い痛みが出るのが特徴です。
高熱とのどの痛みから始まり、のどに赤い粘膜しん、次に水疱(水ぶくれ)ができ、やがて潰瘍になります。
高熱は数日続きます
潜伏期間 3〜6日
登園の目安 発熱や口の中の影響がなく、普段の食事がとれること

突発性発しん

特徴 生後6か月〜2歳によく見られます。
3日間程度の高熱が出て、解熱するとともに紅斑(赤い発しん)が出現するのが最大の特徴ですわ。
お母さんからの移行抗体が消失する乳児期後半以降に感染しやすくなりますわ
潜伏期間 9〜10日
登園の目安 発熱や口の中の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
  1. 百日咳 = 抗菌薬を5日間飲むか、咳が止まるまで💖
  2. 手足口病 = 熱が下がって食事ができればOK💖
  3. 伝染性紅斑(リンゴ病) = 頬が赤くなったときにはもう感染力はほとんどないので、元気なら登園OK💖
  4. ヘルパンギーナ = 粘膜しん・のどの痛み・夏。
    登園基準は手足口病とそっくりですわ💖
  5. 突発性発しん = 乳児期後半・解熱とともに紅斑。
    熱が下がってから発しんが出ますわ💖

ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス感染症)

特徴 流行性嘔吐下痢症の原因となります。
患者のエアロゾル化した嘔吐物が乾燥して舞い上がるため、その処理には特別な注意が必要です。
高熱は数日続きます
潜伏期間 12〜48時間
登園の目安 嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること

ウイルス性胃腸炎(ロタウイルス感染症)

特徴 5歳までにほぼすべての子どもが経験すると言われています。
激しい嘔吐と下痢が起こり、便が白色便になるのが最大の特徴です
潜伏期間 1〜3日
登園の目安 ノロウイルスと同じく、症状が治まり普段の食事がとれること

伝染性軟属腫(水いぼ)

特徴 プールの時期に話題になることが多いですが、実はプールの水では感染しません。
1〜5mm程度の、真ん中が少しくぼんだ丘しんができます
潜伏期間 2〜7週
登園の目安 特になし。登園禁止にはなりませんが、タオルや浮き輪を介してうつることはあるので、現場での配慮が必要です

インフルエンザ

特徴 突然の高熱が出現し、3〜4日続きます
潜伏期間 1〜4日
登園の目安 発症した後5日経過し、かつ解熱した後3日経過していること(乳幼児の場合)

溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)

特徴 喉の痛みや全身の発しんなど、多彩な症状が出るのが特徴です。
舌が苺状に赤く腫れる(苺舌)ほか、全身に鮮紅色の発しんが出ます。
抗菌薬での治療が基本です
潜伏期間 2〜5日(とびひの場合は7〜10日)
登園の目安 抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること

マイコプラズマ肺炎

特徴 「頑固な咳」が続く、少し厄介な肺炎です。
主な症状はで、熱が下がっても咳だけが数週間に及ぶこともあります
潜伏期間 2〜3週
登園の目安 発熱や激しい咳が治まっていること
  1. ノロウイルス = エアロゾル化(嘔吐物が乾いて舞い上がる)。
  2. ロタウイルス = 白色便。
  3. 水いぼ = プールの水自体ではなく、タオルの共有などで感染しますわ💖
  4. インフルエンザ = 「5日」と「3日」の両方の条件を満たす必要がありますわ💖
  5. 溶連菌感染症 = 薬を飲んでから24〜48時間。鮮紅色の発しん・抗菌薬。
  6. マイコプラズマ肺炎 = 激しい咳・2〜3週間💖

RSウイルス感染症

特徴 乳幼児、特に赤ちゃんが感染すると重症化しやすい呼吸器の病気です。
呼吸器感染症で、生後6か月未満の乳児では重症な呼吸器症状(ゼーゼーするなど)を引き起こし、入院が必要になることもあります
潜伏期間 4〜6日
登園の目安 呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと

新型コロナウイルス感染症

特徴 発熱や呼吸器症状のほか、味覚・嗅覚異常など多彩な症状が出ます。
無症状のケースがあるのも特徴です
潜伏期間 約5日間(最長14日間)
登園の目安 発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過していること
  1. RSウイルス感染症 = 生後6か月未満・重症化
  2. コロナウイルス = 発症後5日 + 軽快後1日。
病気名 潜伏期間 登園の目安
麻しん(はしか) 8〜12日 解熱した後3日を経過してること
風しん(三日はしか) 16〜18日 発しんが消失していること
水痘(みずぼうそう) 14〜16日 すべての発疹が痂皮化(かさぶたになること)するまで
流行性耳下腺炎
(おたふくかぜ)
16〜18日 腫れが現れてから5日経過し、かつ全身状態が良好であること
咽頭結膜熱
(プール熱)
2〜14日 主要症状が消退した後2日を経過してから
百日咳 7〜10日 特有な咳が消失していること、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了していること
手足口病 3〜6日 発熱や口の中の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
伝染性紅斑(リンゴ病) 4〜14日 全身状態が良いこと
ヘルパンギーナ 3〜6日 発熱や口の中の影響がなく、普段の食事がとれること
突発性発しん 9〜10日 発熱や口の中の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
ウイルス性胃腸炎
(ノロウイルス感染症)
12〜48時間 嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること
ウイルス性胃腸炎
(ロタウイルス感染症)
1〜3日 ノロウイルスと同じく、症状が治まり普段の食事がとれること
伝染性軟属腫
(水いぼ)
2〜7週間 特になし。登園禁止にはなりませんが、タオルや浮き輪を介してうつることはあるので、現場での配慮が必要
インフルエンザ 1〜4日 発症した後5日経過し、かつ解熱した後3日経過していること
マイコプラズマ肺炎 2〜3週間 発熱や激しい咳が治まっていること