26-1ピアジェの認知発達理論

ピアジェは、子供の知能が「シェマ(頭の中の枠組み・カテゴリー)」を変化させながら発達していくと考えました。そのプロセスには3つのステップがあります。

  1. 同化:新しい情報を、今持っている自分のシェマに当てはめること
  2. 調節:新しい情報に合わせて、自分のシェマを作り直すこと
  3. 均衡化:同化と調節を繰り返して、バランスを保つこと

ピアジェの認知発達理論

感覚運動期 0〜2歳 五感と体の動きで世界を理解する時期
前操作期 2〜7・8歳 言葉やイメージを使えるようになるが、見た目に惑わされやすい時期
具体的操作期 7・8〜
11・12歳
具体的なものがあれば論理的に考えられる時期。
「保存概念の成立」や、自分勝手な見方から卒業する「脱中心化」がキーワード
形式的操作期 11・12歳〜 目に見えない抽象的なことや、仮定の話も論理的に考えられる時期

26-2エリクソンの発達段階

エリクソンは、人生の各時期に心理・社会的危機があり、それを乗り越えることで獲得するものがあると考えました。

エリクソンの発達段階

時期 年齢 心理・社会的危機 獲得するもの
乳児期 0〜1歳 「基本的信頼感」 : 「不信」 希望
幼児前期 1〜3歳 「自律性」 : 「恥と疑惑」 意思
幼児後期 3〜6歳 「自発性」 : 「罪悪感」 目的
児童期 6〜12歳 「勤勉性」 : 「劣等感」 有能感
青年期 12〜22歳 「自我同一性」 : 「同一性拡散」 忠誠
成人前期 22〜40歳 「親密性」 : 「孤立」
成人後期 40〜65歳 「生殖性(世代性)」 : 「停滞」 世話
老年期 65歳〜 「自我の統合」 : 「絶望」 英知

26-3マーシアのアイデンティティ・ステイタス

マーシアはエリクソンの概念を発展させ、危機と積極的関与(コミットメント)を柱に、4つの アイデンティティ・ステイタス段階を提唱しました。

マーシアのアイデンティティ・ステイタス

項目 危機 積極的関与 特徴
アイデンティティ
達成
経験した してる 自分独自の信念で行動できる状態
モラトリアム 最中 しようとしてる 達成に向けて悩んでいる状態です
早期完了
フォークロージャー
経験してない してる 親や社会の価値観をそのまま受け入れた状態
アイデンティティ
拡散
経験してるが してない 自分自身がわからない、または無関心な状態

26-4ハヴィガーストの発達課題

ハヴィガーストは、人生を6つの時期に分け、それぞれの時期に習得すべき課題を提唱しました。
これを達成することで幸せになれると考えたんです。

ハヴィガーストの発達課題

乳幼児 〜6歳
ごろ
歩行/排泄のコントロール/言葉の習得/良心の発達
児童期 6〜12歳
ごろ
遊びに必要な身体的技能/同世代の友達とのつきあい/読み・書き・計算(読み書き算盤)/道徳性・価値の体系の発達
青年期 12〜18歳
ごろ
同世代の男女との洗練された関係/情緒的自立/経済的自立の自信/結婚や家庭生活の準備/社会的責任のある行動
壮年期 18〜30歳
ごろ
配偶者の選択/結婚生活/子育て/家庭の管理/職業への就業/市民的責任の引き受け
中年期 30〜60歳
ごろ
公民的・社会的責任の達成/生活水準の確立と維持/余暇の充実/配偶者との人間としての結びつき/生理的変化への適応
老年期 60歳〜
ごろ
体力・健康の衰退への適応/引退と収入減少への適応/配偶者の死への適応/自己の死への準備

26-5バルテスの生涯発達心理学

バルテスは、発達を「獲得」だけでなく、衰退による「喪失」も含んだプロセスだと考えました。
獲得と喪失のダイナミクス
:発達は一生涯続き、常に獲得と喪失が同時に起こっているという考え方です。
SOC理論(補償を伴う選択的最適化)/サクセスフル・エイジング
:老化などで身体機能が低下(喪失)しても、目標を絞り(選択)、残った能力を最大限に活かし(最適化)、足りない部分を補う (補償)ことで、質の高い生活が送れるという理論です。

  1. 発達は生涯にわたる変化の過程であること
    :おぎゃあと生まれてから亡くなるまで、ずっと変化し続けます
  2. 発達は歴史的、文化・社会的な側面からも影響を受けること
    :生まれた時代や育った場所のルールも、その人の成長に関わります
  3. 発達は獲得・向上といった上昇的な変化(成長)だけでなく、喪失・下降といった衰退的な変化(衰退)をも含むこと
    :得るものがあれば、失うもの(例えば体力など)もある、その両方が「発達」です
  4. 人間の一生のどの時点でも変化の可能性(可塑性)を持つこと
    :何歳になっても、人は変われる力(可塑性)を持っています

26-6レヴィンソンの発達理論

レヴィンソンは、人生を四季として提唱。
主に4つの発達段階を経て進む過渡期が存在すると考えました。

26-7ヴィゴツキーの発達理論

ヴィゴツキーは、子供の発達において「周りの人との関わり」をとても重視しました。

  1. 発達の最近接領域
    :子供が一人でできること(現在の発達水準)と、助けてもらえばできることの間の領域のこと。ここを刺激することが発達に繋がります
  2. 外言(がいげん)
    人とのコミュニケーションのための言葉
  3. 内言(ないげん)
    心の中で考えるための、音に出さない言葉

ピアジェ vs ヴィゴツキー:徹底比較

項目 ピアジェ ヴィゴツキー
発達の
捉え方
構成主義:個人の頭の中での認知機能の発達に注目。
自分一人で知識を組み立てていく
社会構成主義:社会的関係による発達に注目。
他者との関わりの中で発達していく
言葉の流れ 内言→外言
自分の頭で整理できてから、コミュニケーションの言葉が出る
外言→内言
まず他者との言葉があり、それがやがて自分の中で考えるための言葉になる
独語
ひとりごと
コミュニケーションのために使用されていない
自己中心性の現れで、成長と共に消えるもの
自分自身とのコミュニケーションのために使用されている
思考を整理するための大切な過程
発達の鍵 個人の成熟 発達の最近接領域
援助があれば解決できるレベルへの働きかけ

心理学者:重要キーワード・理論まとめ💖

心理学者 キーワード ポイント🌹
ピアジェ シェマ、同化、調節、均衡化、保存概念、認知機能 発達段階(感覚運動〜形式的)と「待つ教育」が基本です
エリクソン ライフサイクル、心理・社会的危機、アイデンティティの拡散 人生を8段階に分け、それぞれの「危機」と「獲得するもの」を対比させます
マーシア アイデンティティ・ステイタス段階、早期完了、モラトリアム、危機(葛藤)、積極的関与(コミットメント) 「危機」と「積極的関与」の有無で4つの型に分けるのが特徴です
ハヴィガースト 発達課題、読み書き算盤、情緒的自立、余暇 6つの時期ごとに「これをすべき」という具体的な課題が決まっています
バルテス 生涯発達、獲得と喪失、SOC理論(補償)、サクセスフル・エイジング 発達は一生続き、喪失を「補償」でカバーするという前向きな理論です
レヴィンソン 人生の四季、過渡期 人生を四季に例え、40代頃に訪れる「過渡期」の葛藤を重視しました
ヴィゴツキー 学習が先、発達の最近接領域、社会構成主義、足場かけ、積極的介入 学習が発達を「リードする」と考え、大人の手助けを重視しました