33-1乳児期

乳児期は発育・発達が著しく、一生の中で一番発育が著しい第一発育急進期と呼ばれます

発育・発達

身体発育
  • 出生時:身長は約50cm、体重は約3,000g
  • 満1歳:出生時と比べて身長は約1.5倍(75cm)、体重は約3倍(0.9kg)に成長します
歯の成長
  • 生後6〜7か月頃:乳歯が生え始め
  • 1歳頃:乳歯は上下で計8本
咀嚼・嚥下(えんげ)
機能
  • 生後すぐ:吸啜(きゅうてつ)反射と嚥下(えんげ)反射により乳汁を飲み込みます
  • 生後5〜6か月頃:なめらかにすりつぶしたものを飲み込めるようになるのが乳食開始の目安です
  • 生後9〜11か月頃:歯ぐきで咀嚼(そしゃく)できるようになります
消化機能 胃はとっくり型で消化機能が未熟なため、溢乳(いつにゅう)や吐乳(とにゅう)が起こりやすいのが特徴です

食生活

乳汁栄養 1 〜母乳栄養

WHO(世界保健機関)は「母乳育児がうまくいくための10のステップ」を公表しています。これは母乳育児を成功させるための重要な指針です。

  1. 規則の遵守と方針の伝達、システムの構築
  2. スタッフの知識・技術の確保
  3. 妊婦や家族への情報提供と話し合い
  4. 出産後すぐの肌と肌の触れ合い(早期接触)の支援
  5. 授乳の開始と継続、困難への対処支援
  6. 医療目的を除き、母乳以外の飲食を与えない
  7. 24時間母子同室の実施
  8. 赤ちゃんの授乳のサイン(合図)への応答支援
  9. 哺乳瓶の乳首やおしゃぶりのリスクについての助言
  10. 退院時における継続的な支援の調整

母乳の特徴

初乳
  • 分娩(ぶんべん)後約1週間までに分泌
  • 黄白色で粘り気がある
  • たんぱく質、ミネラルが多く、乳糖は少ない
  • 免疫グロブリンAなどの感染抑制作用を含み、胎便(たいべん)の排出を促す
成熟乳
  • 分娩(ぶんべん)後約10日から分泌
  • 淡い黄色で甘い
  • 初乳に比べ、乳糖、脂質などが多い
  • 初乳に比べると感染抑制作用は少ない
長所
  • 免疫物質を含むため乳児に抵抗力がつく
  • 乳酸菌を増殖させ、腸内の雑菌繁殖を抑える
  • 乳児のからだろ同種のたんぱく質のためアレルギーが起こりにくい
  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防になるといわれている
短所
  • ビタミンKが不足しやすいため、欠乏症に注意が必要
  • 母乳性黄疸(おうだん)が見られることがある
  • 母乳を通して感染症(HIVなど)が移行する場合がある
  1. 初乳と成熟乳の「成分の違い」は本当によく狙われますわ💖
    成熟乳 = エネルギー源になる乳糖や脂質
    また、母乳に足りない栄養素といえばビタミンKですわね🌙

乳汁栄養 2 〜人工栄養

母乳の代替方法として、牛乳を加工し母乳に近づけた育児用ミルク(人工栄養)があります

育児用
調製粉乳
  • 母乳に近づけるため、ソフト・カード化(カゼインを減らし、乳清たんぱく質を増やす)されています
  • 母乳に不足しているビタミンKなどが添加されています
  • 調乳(ちょうにゅう)時は、殺菌のため70°C以上を維持したお湯を使用し、調乳後2時間を経過したものは破棄します
液体ミルク 常温での保存が可能で、調乳の手間がなく、ライフラインが断絶した災害時にも、水、燃料を使わず授乳が可能
フォローアップミルク
  • 母乳代替食品ではなく、離乳が順調なら摂取する必要はありません
  • 離乳が滞り、鉄欠乏のリスクがある場合などに医師と相談して検討します
牛乳
  • 母乳に比べ、必須アミノ酸が多く含まれます
  • 胃内でたんぱく質が大きなかたまり(ハード・カード)を作るため、母乳より消化が悪くなる
特殊ミルク 代謝異常やアレルギーなど、医療目的で使用されるミルクです(医薬品目、登録品目、市販品目などがあります)

離乳食

乳汁から幼児食に移行する
離乳とは、成長とともに乳汁(母乳・ミルク)だけでは足りなくなるエネルギーや栄養素を補うために、食べる練習をしながら幼児食へ移っていく過程のことです。

授乳・離乳の支援ガイド

ガイドによると、授乳とは乳汁(母乳又は育児用ミルク)を子どもに与えることと定義されています。
支援の段階には「妊娠期」「授乳の開始から授乳のリズムの確立まで」「授乳の進行」「離乳への移行」の4段階があります

授乳の開始から授乳のリズムの確立まで

環境と体制
の支援
  • 出産後から退院までの間は、母親と子どもが終日、一緒にいられるように支援します
  • 子どもが欲しがるとき、母親が飲ませたいときには、いつでも授乳できるように支援します
  • 母親の気持ちを受け止め、あせらず授乳のリズムを確立できるよう支援します
状態に応じた
支援
乳幼児身体発育曲線を用い、授乳回数や授乳量、排尿排便の回数や機嫌等の子どもの状態に応じた支援を行います
関わり方と
周囲の支援
  • 静かな環境で、適切な抱き方で、目と目を合わせて、優しく声をかける等の関わりを支援します
  • 父親や家族等への情報提供を行い、母親に過度の負担を与えないよう配慮します
  • 相談できる場所(こども家庭センター等)や仲間づくり、産後ケア事業等の活用を考えます
母乳の支援
ポイント
  • 出産後はできるだけ早く肌をふれあわせます
  • 子どもが欲しがるサイン、抱き方、含ませ方を伝えます
  • 母乳が足りているかの不安な場合は、自信を持って与えられるよう支援します
育児用ミルク
支援ポイント
  • スキンシップを図り、しっかり抱いて優しく声かけを行います
  • 飲み残しの取扱等について、安全に使用できるよう支援します

授乳の進行と離乳への移行

共通の支援
  • 母親等と子どもの状態を把握しながら、授乳のリズムを確立できるよう支援します
  • これまで実践してきた授乳・育児が継続できるよう支援を続けます
母乳の場合
  • 母乳不足感や体重増加不良などへの専門的支援を行います
  • 困ったときに相談できる母子保健事業の紹介や仲間づくり等、社会全体で支援できる体制を整えます
育児用ミルク
の場合
  • 授乳量は子どもによって異なるので、回数よりも1日に飲む量を中心に考えるようにします
  • 1日の目安量に達しなくても、子どもが元気で体重が増えているなら心配ないことを伝えます
  • 母乳と同様に、専門的支援や社会全体でのサポートにつなげます

離乳への移行

  • 母親等の考えを尊重して支援を進めます
  • 子どもの状態や自らの状態から、授乳を継続するのか終了するのかを判断できるよう、適切な情報提供を心がけます

離乳

離乳については、子どもの食欲、摂食(せっしょく)行動、成長・発達パターン等、個々の子どもの個性があるので、画一的な進め方にならないよう留意しなければなりません
離乳の定義
  • 成長に伴い、母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程
  • その時に与えられる食事を離乳食という
離乳の開始の
定義
  • なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時

離乳の進め方の目安

離乳の開始から完了までの時期を4つに分け、それぞれについて食べ方の目安、調理形態、摂食機能の目安などが提示されています。

  1. 離乳初期(生後5〜6か月頃)
  2. 離乳中期(生後7〜8か月頃)
  3. 離乳後期(生後9〜11か月頃)
  4. 離乳完了期(生後12〜18か月頃)
  1. 育児用ミルクのソフト・カードと、牛乳のハード・カード。 この違いが消化の良し悪しに直結しますわ💖
    育児用ミルク = ソフト・カード、70°C以上を維持したお湯を使用し
    牛乳 = ハード・カード、母乳に比べ、必須アミノ酸が多く含まれます
  2. 発育の確認には乳幼児身体発育曲線を使うというキーワードが非常に重要ですわ💖
    単なる体重測定だけでなく、排尿排便の回数や機嫌など、多角的に子どもを見る姿勢が問われます
  3. 離乳の開始時期についてのひっかけに注意ですわ💖
    単に「生後5か月になったら開始する」ではなく、なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時という「行動」が定義になります