35-1食生活指針

日本の食生活を良くするために作られた「指針(ガイドライン)」の歴史と概要です。

始まり(1985年)

国民一人ひとりが食生活を改善できるように「健康づくりのための食生活指針」が作られました。

個別への対応(1990年)

それぞれの特性に合わせるため「対象特性別の食生活指針」が公表されました。
具体的には「成人病予防」「女性(母性を含む)」「成長期」「高齢者」の4つの種類があります。

新しい指針(2000年〜)

食習慣の乱れや食料自給率の低下などの課題を解決するため、文部省・厚生省・農林水産省の3省が協力して新しい「食生活指針」を策定しました。
これは2016年に一部改定され、現在の形になっています。

食生活指針と実践の要約

食事を楽しむ 食事を通じて健康寿命をのばし、家族の団らんや食事づくりへの参加を大切にします。
リズムを
整える
朝食で1日を始め、夜食や間食のとりすぎに注意して、健やかな生活リズムを作ります。
飲酒はほどほどにします。
適正体重の
維持
適正体重のために、普段から体重や食事量を計り、身体を動かすようにします。
無理な減量は避け、若年女性のやせや高齢者の低栄養にも配慮します。
バランスの
良い食事
主食、主菜、副菜を基本に、多様な食品や調理方法を組み合わせます。
手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に使い分けます。
ご飯・穀類を
しっかり
米などの穀類から、糖質のエネルギー摂取を適正に保ちます。
日本の気候・風土に適したものを利用します。
野菜・果物・
乳製品など
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚などを組み合わせ、ビタミン、ミネラル、食物繊維やカルシウムを十分にとります。
食塩と脂肪 食塩は控えめに(1日の目標値:男性8g未満/女性7g未満
脂肪は質と量を考えてとります。
日本の食文化 和食や地域の産物、郷土の味を継承します。
旬の素材や行事食を取り入れ、地域や家庭の調理技術を伝えます。
食料資源を
大切に
食品ロスや食べ残しを減らし、賞味期限や消費期限を考えて利用します。
食生活を
見直す
自分の食生活を振り返り、食品の安全性への理解を深め、自分たちの健康目標をつくります。
  1. 1990年の指針で対象となっている「4つの区分」を正確に覚えるのがコツですわ💖
    成人病予防、女性(母性を含む)、成長期、高齢者の4つをしっかりセットでインプットしてくださいませ🌙
  2. 「生活習慣病の増加」や「食料自給率の低下」といった現代の社会問題が、2000年の「食生活指針」策定の背景にあることを結びつけてくださいませ💖
    またこの指針は、文部科学省(旧文部省)・厚生労働省(旧厚生省)・農林水産省の「3省」が合同で作ったという点がとても大切ですの🌹

35-2成長期のための食生活指針

この指針は、1990年に策定された「対象特性別の食生活指針」の一つです。
時期ごとのポイントをまとめました。

乳児期

子どもと親を結ぶ絆としての食事

  • 食事を通したスキンシップを大切にします
  • 母乳で育つ赤ちゃんを応援し、離乳の完了は満1歳を目安にします
  • 母子健康手帳をいつでも活用しましょう
幼児期

食習慣の基礎づくりとしての食事

  • 食事のリズムを大切にし、何でも食べられるようにします
  • うす味と和風料理に慣れさせ、牛乳・乳製品を十分に与えます
  • 一家そろって食べる楽しさや、手づくりおやつの素晴らしさを伝えます
  • 保育所や幼稚園の食事に関心を持ち、親子で外遊びを習慣にします
学童期

食習慣の完成期としての食事

  • 1日3食、バランスのとれた食事と、牛乳・野菜と果物を十分に食べる習慣をつけます
  • おやつ、食べ過ぎや偏食に注意し、加工食品、インスタント食品を正しく利用します
  • 一家団らんを楽しみ、学校給食のねらいを考え、外に出て体を動かします
思春期

食習慣の自立期としての食事

  • 自分でバランスを考え、牛乳・乳製品や野菜と果物を自ら進んでとります
  • 食べ過ぎ、偏食、ダイエットに注意し、夜食の内容にも気を配ります
  • 加工食品、インスタント食品を正しく利用します
  • みんなで食事を楽しみ、適度な運動で健康づくりをします
  1. 各時期の「タイトル」の言葉を入れ替えるひっかけ問題に注意ですわ💖
    乳児期は「絆」、幼児期は「基礎づくり」、学童期は「完成期」、思春期は「自立期」ですの🌹
    例えば「幼児期は食習慣の完成期である」といった文章が出たら、それは間違いですわね🌙

35-3楽しく食べる子どもに
-保育所における食育に関する指針-

乳幼児期から豊かな食の体験を重ね「食を営む力」の基礎を培うことが目的です

食育の目標

策定の背景 2004(平成16)年に厚生労働省から公表されました。
この考え方は「保育所保育指針」がベースになっています。
食育の実践 身近な大人からの援助や、他の子どもとのかかわりを通して「食育」を実践することを目安としています。
年齢区分 ①6か月未満児、②6か月〜1歳3か月未満児、③1歳3か月〜2歳未満児、④2歳児、⑤3歳以上児の5つに分類されています。
3歳以上児の
5分類
「食と健康」「食と人間関係」「食と文化」「いのちの育ちと食」「料理と食」について示されています。
食育の目標
  • お腹がすくリズムの持てる子ども
  • 食べたいもの、好きなものが増える子ども
  • 一緒に食べたい人がいる子ども
  • 事づくり、準備にかかわる子ども
  • 食べものを話題にする子ども

食育のねらい及び内容

6か月未満児

ねらい
  • お腹がすいたときに、乳を飲みたいだけゆったりと飲みます
  • 安定した人間関係の中で、心地よい生活を送ります
内容
  • よく遊び、よく眠り、お腹がすいたら泣くことで伝えます
  • 授乳してくれる人に関心を持ちます

6か月〜1歳3か月未満児

ねらい
  • 乳を吸い、離乳食を喜んで食べます
  • いろいろな食べものに触れ、自分で進んで食べようとします
内容
  • 満足するまで乳を吸い、お腹がすいたら喃語などで催促します
  • 食べものを持って食べようとし、食べさせてくれる人に関心を持ちます

1歳3か月〜2歳未満児

ねらい
  • 食事を喜んで食べ、噛んで味わう経験を通して自分で進んで食べようとします
内容
  • 食事を楽しむようになり、手づかみやスプーンなどで意欲的に食べようとします
  • 顔や手を拭き、きれいになった快さを感じ、一緒に食べる人に関心を持ちます

2歳児

ねらい
  • いろいろな料理を味わい、基本的な習慣や態度に関心を持ちます
  • 保育士を仲立ちとして友達と食事を進め、一緒に食べる楽しさを味わいます
内容
  • 食べものに関心を持ち、いろいろなものを進んで食べるようにします
  • 保育士の手助けで、うがいや手洗いなどを自分でしようとします
  • 調理をする人にも関心を持つようになります

3歳以上児

食と健康

ねらい
  • 自分の体に必要な食品の種類や働きに気づき、栄養バランスを考慮した食事をとろうとします
内容
  • 好きな食べものをおいしく食べ、様々な食べものを進んで食べ、慣れないものにも挑戦します
  • 自分の健康に関心を持ち、生活リズムを身につけます
  • うがいなどを自分でし、食事の仕方を知り、自分たちで場を整え、安全に気をつけます

食と人間関係

ねらい
  • 身近な人と一緒に食べる楽しさを味わい、会食を通して愛情や信頼感を持ちます
内容
  • 身近な大人や友達とともに食事をする喜びを味わい、同じ料理を分け合って食べることを喜びます
  • 友達と協力して進め、場を共有する中で思いやりを持ちます
  • 調理をしている人に感謝し、お年寄りや外国の人など様々な人と親しみ、きまりを守ろうとします

食と文化

ねらい
  • 様々な文化に気づき、地域の食文化を体験して郷土への関心を持ち、食習慣、マナーを身につけます
内容
  • 食材の旬や季節感を知り、地域の産物や郷土、伝統的な日本特有の食事を体験します
  • 自分と異なる食文化に興味を持ち、伝統的な食品加工に出会います
  • 食事に合った食具を使い、気持ちよく食べるためのマナーを身につけます

いのちの育ちと食

ねらい
  • 感謝の気持ちを持って、すべてのいのちを大切にする心を持ちます
  • 料理との関係を考え、食材に対する感覚を豊かにします
内容
  • いのちの美しさ、不思議さに気づき、自分たちで野菜を育てて収穫の時期を知り、その野菜を食べます
  • 卵や乳など、身近な動物からの恵みに感謝し、食べものを皆で分け合います

料理と食

ねらい
  • 身近な食材を使って調理を楽しみ、準備から後片付けまで自ら関わります
内容
  • 身近な大人の調理を見たり、大人の援助を受けながら自分でできることを増やし、食べたいものを考えます
  • 調理器具の使い方を学び、調理することを楽しみ、盛り付けや雰囲気を考えます
  1. 「自分で食べたい」という意欲の変化をランク付けして覚えましょうね💖
    1歳3か月未満 =「持って」食べる
    1歳3か月以降 =「手づかみ」や「スプーン」
    で意欲的に食べるという流れですの🌹
  2. 「食と健康」と「食と人間関係」の内容が混ざらないように注意ですわ💖
    「安全に気をつける」=「食と健康」の内容
    「きまりを守る」=「食と人間関係」の内容
  3. 「料理と食」では、子どもたちが「自分でできること」を増やすことが大切にされていますわ💖
    ただし、すべて自分でするのではなく、大人の援助を受けながら、という一文がついているところが保育現場らしいポイントですわね🌙