02-1こども家庭庁発足と2022年改正(2024年施行)

2023年に発足したこども家庭庁主導の、令和で最も新しいルール。
改正の施行は、こども家庭庁で実施されています。

2023(令和5)年4月:こども家庭庁の発足

これまで厚生労働省が担当していた子ども関係の仕事の多くが、
新しくできた「こども家庭庁」へ移されました。

2024(令和6)年4月施行:包括的な支援と新しい専門資格

地域での支援をギュッと一つにまとめ、より専門的なサポートを行う仕組みが整いました。

こども家庭センターの設置 市区町村に、相談窓口を一元化した拠点が作られます
地域子育て相談機関の設置 もっと身近な場所で相談できるようになります
児童発達支援センターの一元化 福祉型・医療型に分かれていたものが一つに統合されます
家庭支援事業の創設 「子育て世帯訪問支援事業」、「児童育成支援拠点事業」、「親子関係形成支援事業」の3つを新設し、既存の事業とあわせて「家庭支援事業」と呼びます

支援の質の向上と里親支援

親子再統合支援事業 離れて暮らす親子が再び一緒に暮らせるよう支援します
里親支援センター 児童福祉施設として創設
妊産婦等生活援助事業 困難を抱える妊産婦さんに住居や食事を提供します

子どもの意見と権利

意見表明等支援事業 子どもが自分の意見を言いやすいようサポートします

自立支援の強化

  • 児童自立生活援助(自立援助ホーム)の年齢制限を弾力化(事情に合わせて柔軟に対応)
  • 社会的養護自立支援拠点事業の創設
  • 障害児入所施設の入所を22歳まで継続可能にしました

司法審査の導入(2024年7月施行)

一時保護を開始する際、親の同意がない場合などは、7日以内に裁判官に一時保護状を請求するルールができました

専門性の向上と環境整備

  • こども家庭ソーシャルワーカーという新しい認定資格ができました
  • 性犯罪歴を確認する日本版DBSに向けた取り組みが強化されました

こども家庭センターの役割と仕組み

これまでの「子育て世代包括支援センター」と「市区町村子ども家庭総合支援拠点」を一つにまとめ、よりパワーアップした組織です。

子育て支援の「司令塔」

設置の
目的と義務
母子保健児童福祉の2つの機能を一体化させ、虐待予防から困難を抱える家庭まで、切れ目なくサポートすることを目指しています。
市町村に設置の努力義務があります
2つの
アプローチ
この両輪で漏れのない対応を行います。
  • ポピュレーションアプローチ:地域のみんなを対象に、リスクを減らす働きかけ
  • ハイリスクアプローチ:特に支援が必要な人を対象に、重点的に行う働きかけ
活動の
内容
センターは、母子保健機関児童福祉機関に分類されます。
個々の家庭の課題に応えるため母子保健事業家庭支援事業などを組み合わせて、一人ひとりに合ったサポートプランを組み立てます
配置される
職員
センター長、統括支援員のほか、母子保健担当の保健師や、児童福祉(虐待対応など)を担当する子ども家庭支援員などが配置されます

こども家庭センターの「核」となる2つの機能

この2つが緊密な連携・協力を行うことで、相談内容によって窓口をたらい回しにされるのを防ぐ仕組みになっています。

  • 母子保健機能:妊婦健診や乳幼児健診、産後ケアなど、主に「健康・医療」面でのサポート
  • 児童福祉機能:虐待防止や経済的困窮への対応など、主に「生活・福祉」面でのサポート

時系列に沿った「伴走型」の支援

  • ポピュレーションアプローチ:全ての妊産婦や子育て世帯を対象とした、健康診査や新生児訪問などの漏れのないアプローチです
  • 情報の集約:保育所、幼稚園、小学校、そして新設される「こども誰でも通園制度」などを通じて、支援が必要な家庭の情報を「こども家庭センター」へ集約します
  • サポートプランの作成:支援が必要と判断された家庭に対し、個別のサポートプランを作成し、具体的なサービスへつなげます

具体的な「支援メニュー」への橋渡し

センターが繋ぎ先となる具体的な事業が並んでいます

  • 日常生活の支援:こども食堂、一時預かり、家事・育児の訪問支援など
  • 専門的な支援:障害児支援、ショートステイ、親子関係形成支援など
  • 要保護児童への対応:「要保護児童等対策地域協議会(要対協)」と連携し、深刻なケースには調整機関として深く関与します

まとめ:この図が伝えたいこと

この図の全体像を一言で表すと、こども家庭センターが司令塔(ハブ)となり、地域の色々なサービスを繋ぎ合わせて、一人の子ども・一つの家庭を妊娠中からずっと見守り続ける体制です。
特筆すべきは、「こども誰でも通園制度」などを利用する「未就園児」など、これまで行政の目が届きにくかった層も早期に発見し、センターが適切な支援メニューに繋いでいくという姿勢が強調されている点です。

地域子育て相談機関の整備

児童福祉法により、市町村は区域ごとに地域子育て相談機関を整備することに努めなければならないと定められています
目的 相談のハードルを下げ、物理的にも近い場所で子育て世帯との接点を増やし、不安解消や状況把握を行うことです
実施主体 市町村(委託も可能)です
場所 保育所、幼稚園、認定こども園、児童館などで実施されます
対象 すべての妊産婦、子どもとその家庭(里親・養子縁組を含む)です

こども家庭ソーシャルワーカー

新しい認定資格制度としてこども家庭ソーシャルワーカーが創設されました
取得条件 指定の講習と試験に合格し、登録を受ける必要があります
実務
経験の例
  • 社会福祉士・精神保健福祉士として指定施設で2年以上
  • 指定施設で4年以上
  • 保育士として保育所等で4年以上

児童福祉法・子ども・子育て支援法等の改正
(2024年改正・2025年4月施行)

「加速化プラン」に基づき、経済的支援の強化や支援の拡充を目的とした改正が行われました
妊婦のための
支援給付等の創設
10万円相当の経済的支援に加え、妊婦等包括相談支援事業を創設し、相談と給付をセットで支援します
こども誰でも
通園制度の創設
これに伴う乳児等通園支援事業を地域子ども・子育て支援事業に位置づけました

児童福祉法における定義と権利

児童福祉法では、満18歳に満たない者を「児童」とし、さらに3つに区分しています。

  • 乳児: 満1歳に満たない者
  • 幼児: 満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
  • 少年: 小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者

児童福祉施設の種類

法改正により、以下の13施設が児童福祉施設と定義されています。

助産施設 経済的理由で入院出産が困難な妊産婦を入所させて出産させる施設
乳児院 乳児(おおむね1歳未満)を養育する施設
母子生活支援施設 配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある方と、その児童を保護・自立支援する施設
保育所 日々保護者のもとにいる乳幼児を保育する施設
幼保連携型認定
こども園
幼稚園と保育所の機能を併せ持ち、教育と保育を一体的に行う施設
児童厚生施設 児童に健全な遊びを与え、健康や情操を養う施設(児童館や児童遊園など)
児童養護施設 保護者のいない児童や虐待を受けた児童などを養育・自立支援する施設
障害児入所施設 障害のある児童を入所させ、保護および日常生活の指導を行う施設
児童発達支援
センター
障害のある児童を通所させ、日常生活の基本動作や知識技能の付与などを行う施設
児童心理治療施設 心理的な障害のある児童を短期間入所(または通所)させ、治療や学習支援を行う施設
児童自立支援施設 不良行為をしたり、その恐れのある児童を入所(または通所)させ、自立を支援する施設
児童家庭支援
センター
児童の福祉に関する家庭からの相談に応じ、必要な助言や指導を行う施設
里親支援センター 里親の開拓や研修、里親家庭への継続的な相談・支援を行う施設
2024年(令和6年)4月1日から追加

児童憲章(1951年 昭和26年 制定)

わが国独自の憲章で、法律ではないため強制力はありませんが、精神的な柱となります。

  • 日本国憲法の精神に従う
  • 児童は、人として尊ばれる
  • 児童は、社会の一員として重んぜられる
  • 児童は、よい環境の中で育てられる

児童の権利に関する条約

1989年に国連総会で採択された、児童は権利の主体として扱う意見を表明する権利などの条約です。
日本では1994年に批准(この約束をきちんと守ります)し、最終的な同意をして、条約の効力を発揮しています

  1. 生命に対する固有の権利と生存と発達の確保
  2. 家族から分離されない権利
  3. 意見を表明する権利
  4. 表現の自由についての権利
  5. 児童の教育及び発達点について、父母が共同の責任を有する
  6. 教育を受ける権利

子どもの権利に関わる国際法令等(要約)

世界のこどもたちの権利がどのように守られてきたか、歴史の流れが大切です

1924年 ジュネーブ宣言 世界で最初の児童の権利に関する宣言
1948年 世界人権宣言 すべての人を対象とした宣言で、国連総会で採択された
1951年 児童憲章 日本独自に制定されたもの。子ども観を持ち、児童の福祉に貢献
1959年 児童権利宣言 児童の最善を優先することを理念として「保護される存在」として位置づけ
1966年 国際人権規約 世界人権宣言を基礎に条約化したものです
1989年 児童の権利に
関する条約
ここで児童は「権利の主体」へと進化しました
  1. 見直す「数字と用語」のチェックリスト💖
    こども家庭センター = 市町村に設置の努力義務
    一時保護状の請求 = 親の同意がない場合、7日以内に裁判官へ
    障害児入所の継続 = 事情により22歳まで延長可能
    統括支援員 = こども家庭センターに置かれる、連携の司令塔🌙
  2. 1959年の「児童権利宣言」と1989年の「児童の権利に関する条約」の対比が重要ですわ💖
    児童権利宣言 = 保護される存在
    児童の権利に関する条約 = 権利の主体
    しっかり見分けてくださいませ🌹

02-2こども基本法

これまでは支援がバラバラでしたが、統一された支援を行うため、新たな司令塔としてこども家庭庁を創設。
それに合わせて2023(令和5)年4月1日にこども基本法が施行されました。
こどもを社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」の実現を目指しています。

こどもの
定義
  • この法律では、こどもを「心身の発達の過程にある者」と定義しています
  • こども家庭庁に内閣総理大臣を会長とする子ども政策推進会議を設置することなど規定している
第1条
目的
  • 日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築く
  • 権利の擁護が図られ、将来の幸福な生活を送ることができる社会を目指す
  • 社会全体としてこども施策に取り組むこと
  • こども政策推進会議を設置することなどを目的としています
第2条
定義
  • 「こども施策」とは、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援
  • 家庭における養育環境の整備などを指します
第3条
基本理念
  • 個人として尊重され、基本的人権が保障されること
  • 適切に養育され、生活を保障されること。愛され保護されること。健やかな成長及び発達並びにその自立が図られること。教育を受ける機会が等しく与えられること
  • 年齢及び発達の程度に応じて、意見を表明する機会及び参画する機会が確保されること
  • 意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること
  • 家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有すること
  • 必要な支援を行うとともに、家庭と同様の養育環境を確保すること

こども家庭庁から公表された様々な施策

こども大綱

こども家庭庁がリーダーシップを発揮し、
政府全体のこども施策を推進するための指針です

定義 こども大綱とは、こども基本法に基づき、こども政策を総合的に推進するために、少子化社会対策大綱」、「子ども・若者育成支援推進大綱」、こどもの貧困の解消に向けた対策に関する大綱を1つに束ね、基本的な方針や重要事項を一元的に定めたものです
見直し 内容は、おおむね5年1度見直されることになっています
目指す姿 こどもまんなか社会:全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会
キーワード 全てのこども・若者が、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会を目指します

こども未来戦略(こども未来戦略方針)

こども未来戦略とは、若い世代が希望通りに結婚・出産し、
安心して子育てができる社会を実現することを目的として策定されたものです

3つの
基本理念
わが国が目指すべき社会の実現のため、次の3点を基本理念として定めています。
  1. 若い世代の所得を増やす
  2. 社会全体の構造・意識を変える
  3. 全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する
加速化
プラン
2030年代に入ると若年人口が現在の倍速で急減すると予測されており、少子化傾向を反転のラストチャンスです。
そこで今後3年間の集中取組期間において「加速化プラン」を実施します。
  1. ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組み
  2. すべてのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
  3. 共働き・共育ての推進
  4. こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革

こども・子育て政策が目指す将来像とPDCAの推進

将来像とPDCA

「加速化プラン」の実施状況を検証しつつ、PDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返して品質を向上させること)を推進します。

こどもと向き合う喜びを最大限に感じるための4原則

  1. こどもを生み、育てることを経済的理由であきらめない
  2. 身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てられる
  3. どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持てる
  4. こどもを育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられる

幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン

こども家庭庁は、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」を策定しました。

はじめの
100か月とは
母親の妊娠期から幼小接続の重要な時期
(いわゆる5歳児~小1)までを指します
意義 幼児期までこそ、生涯にわたるウェルビーイング(身体的精神的社会的に幸せな状態)の向上にとって最重要です
目的 誕生前から幼児期までの「はじめの100か月」から生涯にわたるウェルビーイングの向上を目指します
5つの
ビジョン
  1. こどもの権利と尊厳を守る
  2. 「安心と挑戦の循環」を通して、こどものウェルビーイングを高める
  3. 「こどもの誕生前」から切り目なく育ちを支える
  4. 保護者、養育者のウェルビーイングと成長の支援をする
  5. こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す

こどもの居場所づくりに関する指針

こどもの居場所とは

指針の理念

全てのこどもが、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、自己肯定感や自己有用感を高め、生涯にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で成長できるよう、「こどもまんなか」の居場所づくりを実現します。

こどもの居場所づくりにおける4つの基本的な視点

これらは順序や優先順位はなく、相互に関連し、循環的に作用するものです。

  1. 「加速化プラン」という言葉が出てきたら、
    即座に「経済的支援の強化」「共働き・共育て」といった具体的なアクションと結びつけてくださいわ💖
    これらはセットで試験に登場する確率が高いですのよ🌹
  2. 「はじめの100か月」の期間設定に注目ですわ💖
    単に「生まれてから」ではなく、「母親の妊娠期」から始まって「いわゆる5歳児~小1」までを含みますの。
    ここが「3歳まで」などとひっかけで出されたら、自信を持ってバツをつけてくださいませ🌙