11-1少子化の経緯

合計特殊出生率の定義

  • 15〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものです
  • 1人の女性が一生の間に生むと仮定したときの子どもの数に相当します

出生率の歴史的推移

戦前〜第1次
ベビーブーム

(1947〜1949年)
出生率は4.0前後を維持していましたが、1950年以降急激に低下していきました
1966年(昭和41年) 合計特殊出生率が1.58を記録しました。
これは丙午(ひのえうま)に関連した迷信により、この年の出産を控えた夫婦が多かったため、突出して少なくなりました
第2次ベビーブーム
(1971〜1974年)
ほぼ2.1台で推移し、それ以降はゆるやかに減少していきました

少子化対策への契機

1989(平成元)年 1966年の1.58を下回る1.57という数値が記録されました
これを1.57ショックと呼び、日本が少子化対策に乗り出すきっかけとなりました
人口置換水準(日本の人口を維持するための数値)は2.07程度といわれており、これを大きく下回ったため、政府は少子化対策に本腰を入れることになりました

11-2少子化の原因

非婚化、②晩婚化・晩産化、③夫婦の持つ子どもの数の減少の3つといわれています。

背景にある社会・経済的要因

  1. 「第1次ベビーブーム」と「第2次ベビーブーム」の時期や数値のひっかけに注意ですわ💖
    第1次は「4.0前後」で、第2次は「ほぼ2.1台」ですの🌹
  2. 重要なのは「1989(平成元)年」の「1.57ショック」ですわ💖
    これが国の少子化対策のスタートラインになった歴史的な数字です。
  3. 少子化の暗記キーワードですわ💖
    丙午(ひのえうま) = 「1966年」の「1.58」
    少子化対策のきっかけ = 「1989年」の「1.57」🌙

11-3少子化対策の流れ

少子化対策の全体的な傾向

  • 国はさまざまな少子化対策に乗り出しています
  • 保育士試験では、施策と内容の結びつけ問題や、施策の年代順の並び替え問題がよく出題されます
  • それぞれの細かい年号までを覚える必要はありませんが、施策の流れは頭に入れましょう
施策 概要
1990年公表 1.57ショック 前年(1989年)の合計特殊出生率が、過去最低であった1966年の丙午の出生率(1.58)を下回り、国が危機感を持ったことが始まりです
1994年策定 エンゼルプラン
今後の子育て支援のための施策の基本的方向について
少子化対策、仕事と子育ての両立支援が主な目的です。
当時の文部・厚生・労働・建設の4大臣合意によって策定されました
1995年 緊急保育対策等5か年事業 保育の量的拡大、②低年齢児(0〜2歳児)保育、延長保育等の多様な保育の充実、③地域子育て支援センターの整備等が行われました
1999年策定 少子化対策推進基本方針 少子化推進関係閣僚会議による決定です
新エンゼルプラン
重点的に推進すべき少子化対策の具体的一致計画について
  • 当時の大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治の6大臣の合意により策定されました
  • 従来の政策を見直し、保育サービス関連だけでなく、雇用、母子保健、相談、教育などの事業も加えられました
2001年 待機児童ゼロ作戦 仕事と子育ての両立支援策の1つで、保育所の待機児童をなくすための取組みです
2002年 少子化対策プラスワン 子育てと仕事の両立支援に加え、4つの柱に基づく取組みです
2003年 次世代育成支援対策推進法制定
  • 国、地方公共団体だけでなく、企業の次世代育成への役割が示されました
  • 従業員が101人以上の一般事業主に子育て支援の行動計画をつくることが義務づけられたのが大きな特徴です
  • この法律は2014(平成26)年度までの時限立法でしたが、2035(令和17)年3月末まで延長され、さらなる次世代育成支援対策を行います
少子化社会対策基本法制定 少子化対策施策の基本理念を明らかにし、具体的な子育て支援の取組みを推進するために制定されました。
国、地方公共団体、事業主、国民の責務を示しています
2004年 少子化社会対策大綱
(2004年6月〜2010年1月)
  • 「少子化社会対策基本法」に基づいて策定されました
  • 子どもが健康に育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じられる社会への転換を課題とし、少子化の流れを変える施策に集中的に取り組むための指針です
  • 子育て家庭が安心と喜びを持って子育てに当たることができるように社会全体で応援するとの基本的考えに立ち、「3つの視点」と「4つの重点課題」、「28の具体的行動」を提示しました
子ども・子育て応援プラン
少子化社会対策大綱に基づく具体的実施計画について / 2005〜2009年度
国が地方公共団体や企業等とともに計画的に取り組む必要がある事項について、「少子化社会対策大綱」に基づく重点施策の具体的実施計画として策定されました
2006年 新しい少子化対策について
  • 「家族の日」・「家族の週間」の制定などによって社会全体の意識を改革する国民運動を推進しました
  • 親の就労にかかわらずすべての子育て家庭を支援するという視点を踏まえ、妊娠・出産から高校・大学生期に至るまでの年齢進行ごとの子育て支援策を掲げました
2007年 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略
  • 少子化社会対策会議で決定されました
  • 就労と出産・子育ての二者択一構造を解決するために、働き方の見直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現とともに、その社会的基盤となる包括的な次世代育成支援の枠組みを提示しました
  • その内容は「親の就労と子供の育成の両立」と「家庭における子育てを包括的に支援する仕組みの構築」同時に取り組んでいくことが必要不可欠と提示しました
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 / 仕事と生活の調和推進のための行動指針 仕事と生活の調和が実現した社会を実現するため、企業や働く者、国民の効果的な取組み、国や地方公共団体の施策の方針を策定しました
2008年 新待機児童ゼロ作戦 保育サービス、放課後児童クラブの整備を掲げて、10年後の目標値を設定しました
2010年 少子化社会対策大綱の策定
子ども・子育てビジョン(2010年1月〜2015年3月)
  • 子ども・子育て支援施策を実施する際の「3つの大切な姿勢」として、①生命(いのち)と育ちを大切にする、②困っている声に応える、③生活(くらし)を支えるを示しました
  • 同時に、「目指すべき社会への政策4本柱」と「12の主要施策」を示しました
待機児童解消「先取り」プロジェクト 官邸に設置された待機児童ゼロ特命チームによってまとめられました
子ども・子育て新システム検討会議 内閣府に設置され、子ども・子育て新システムの基本制度案要綱を決定しました
2012年 子ども・子育て関連3法の成立

現在の子ども・子育て支援制度の根拠法となる子ども・子育て支援法が2012年に制定されたことは非常に重要です

  • 子ども・子育て支援法
  • 認定こども園法(「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の一部を改正する法律)
  • 子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
  1. 「エンゼルプラン」と「新エンゼルプラン」の合意した大臣の数のひっかけに注意ですわ💖
    最初は「4大臣」の合意でしたけれど、新エンゼルプランでは大蔵と自治が加わって「6大臣」の合意にパワーアップしていますの🌹
  2. 2004年の「大綱」と「プラン」の主従関係は、並び替えや正誤問題での重要ですわ💖
    まず「少子化社会対策基本法(2003年)」という土台があって
    それに基づいて「少子化社会対策大綱(2004年)」という大きな指針が作られ
    その大綱を具体的に実行するためのスケジュール表として「子ども・子育て応援プラン(2004年)」がセットされた🌙
  3. 「子ども・子育て支援制度」が2012年に制定されたことは重要ですわ💖
    ここから新しい支援制度の歴史が動き出しますから、この2012年という年号と法律名はセットで心に刻んでおくのが確実です🌹
施策 概要
2013年 待機児童解消加速化プラン 待機児童解消に意欲のある地方公共団体に対して、以下の5つの支援策を講じました
  1. 賃貸方式や国有地も活用した保育所整備(ハコ)
  2. 保育の量拡大を支える保育士確保(ヒト)
  3. 小規模保育事業などの新制度の先取り
  4. 認可を目指す認可外保育施設への支援
  5. 事業所内保育施設への支援
2014年 放課後子ども総合プラン(学童保育) こども家庭庁(旧厚生労働省)および文部科学省の連携により策定されました。
「児童福祉法」における事業である放課後児童健全育成事業と、放課後等にすべての児童を対象として学習や体験・交流活動などを行う事業である放課後子供教室の計画的な整備等を行います
2015年 子ども・子育て支援新制度施行 ①質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供
②保育の量的拡大・確保
③地域の子ども・子育て支援の充実
少子化社会対策大綱
2015年3月〜2020年5月
  1. 子育て支援施策を一層充実
  2. 若い年齢での結婚・出産の希望の実現
  3. 多子世帯への一層の配慮
  4. 男女の働き方改革
  5. 地域の実情に即した取組強化
2016年 待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について 待機児童解消の受け皿拡大に積極的に取り組む市町村などを対象に措置を実施しました
ニッポン一億総活躍プラン 子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが経済を強くするという新たな経済社会システム創りに挑戦するという国の政策です
働き方改革
②子育ての環境整備
③すべての子供が希望する教育を受けられる環境の整備
希望出生率1.8に向けたその他の取組み
切れ目のない保育のための対策 ①待機児童対策の横展開
②0〜5歳児の受け皿整備
③土地等の確保の支援
④保育人材の確保・保育サービスの質の確保
⑤保護者や地域のニーズへの対応
⑥多様な就労形態に応じた保育サービス
2017年 子育て安心プラン
  • 待機児童解消を目的とし、東京都をはじめ意欲的な自治体を支援するためのプランです
  • 待機児童解消に必要な受け皿約22万人分の予算を平成30年度から平成31年度末までの2年間で確保し、遅くとも平成32年度までの3年間で全国の待機児童を解消することを目指しました
  • ①保育の受け皿の拡大
    ②保育人材確保
    ③保護者への「寄り添う支援」の普及促進
    「保育の質の確保」
    ⑤持続可能な保育制度の確立
    ⑥「働き方改革」の6つを掲げています
新しい経済政策パッケージ
  • 生産性革命、人づくり革命を車の両輪として、少子高齢化に立ち向かうための政策です
  • 「人づくり革命」では
    幼児教育の無償化待機児童の解消高等教育の無償化私立高等学校の授業料の実質無償化を掲げています
2018年 新・放課後子ども総合プラン
2019〜2023年度
共働き家庭等の小1の壁・待機児童を解消するとともに、全ての児童が放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動が行えるよう策定されました
経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)
人づくり革命 基本構想
幼児教育の無償化について、2019(令和元)年10月からの全面的な実施を目指すことや、その対象者・対象サービスの詳細等が示されました
  1. 「放課後子ども総合プラン(2014年)」に出てくる2つの事業のひっかけに注意ですわ💖
    放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)= こども家庭庁(旧厚生労働省)の管轄
    放課後子供教室= 文部科学省の管轄です🌹
  2. 「2014年の放課後子ども総合プラン」と「2018年の新・放課後子ども総合プラン」のひっかけに注意ですわ💖
    2018年の「新」がつくプランでは、新しく「小1の壁・待機児童」の解消という具体的な課題ワードが追加されているのが最大の特徴です🌙
施策 概要
2020年 第4次少子化社会対策大綱
2020年5月〜
待機児童解消に意欲のある地方公共団体に対して、以下の5つの支援策を講じました
希望出生率1.8の実現を目指し、令和の時代にふさわしい当事者目線の対策を進めるための大綱です
  • 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる
  • ②多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える
  • 地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める
  • 結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる
  • ⑤科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する
新子育て安心プラン
2021〜2024年度
4年間で約14万人の保育の受け皿を整備するほか、以下の3つの柱を軸に各種取組みを推進しています。
地域の特性に応じた支援
②魅力向上を通じた保育士の確保
③地域のあらゆる子育て資源の活用
2021年 こども政策の新たな推進体制に関する基本方針
  • こどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組み・政策を我が国社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」を目指す方針です
  • こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障します
  • 子どもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しするための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設することとしました
2023年-1 こども基本法施行
2023年4月1日
  • 日本国憲法および児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担うすべてのこどもが対象です
  • こどもの心身の状況や環境にかかわらず、その権利の擁護が図られ、こども施策を総合的に推進する法律です
こども未来戦略 安心して子育てができる社会の実現を目的としており、以下の3つのポイントがあります

ポイント1:3つの基本理念


①若い世代の所得を増やす
②社会全体の構造や意識を変える
③全ての子ども・子育て世帯を切れ目なく支援する

ポイント2:加速化プラン


①経済的支援の強化と、若い世代の所得向上
②全ての子育て世帯を対象とした支援の拡充
③共働き・共育ての推進
④子育てにやさしい社会づくりのための意識改革

ポイント3:こども・子育て政策が目指す将来像とPDCAの推進


こどもと向き合う喜びを最大限に感じるための4原則(あきらめない、サポート、安心感、夢を追いかけられる)を掲げています
2023年-2 放課後児童パッケージ
2024年度以降も継続
早期の受け皿整備の達成に向け、こども家庭庁と文部科学省が連携してとりまとめました ①放課後児童クラブの受け皿整備等の推進
②すべてのこどもが放課後を安全・安心に過ごすための強化策を行います
こども大綱 すべてのこども・若者が、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態であるウェルビーイングで生活を送ることができる社会(「こどもまんなか社会」)を目指します
幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン) すべてのこどもの誕生前から幼児期までの「はじめの100か月」から生涯にわたるウェルビーイングの向上を目的とします
こどもの居場所づくりに関する指針 すべてのこどもが安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、多様な体験活動ができるようにし、ウェルビーイングで成長し、「こどもまんなか」の居場所づくりを実現するための指針です

最新の人口動態統計(令和5年)

  • 厚生労働省の「人口動態統計(確定数)の概況」によると、2023(令和5)年の出生数は72万7,288人であり、明治32年の調査開始以来最少となりました。
  • 出生率(人口千対)は6.0、合計特殊出生率は1.20となり、過去最低を記録しています。
  1. 「2017年の子育て安心プラン」と「2020年の新子育て安心プラン」の数字のひっかけに注意ですわ💖
    子育て安心プラン(2017年)= 約22万人分
    新子育て安心プラン(2020年)= 4年間で約14万人の受け皿整備🌹
  2. 「こども基本法」と「こども大綱」のキーワードの重なりに注意ですわ💖
    どちらも「日本国憲法」や「児童の権利に関する条約」という重みのある言葉がベースにあります。
    違いは2023年の「こども大綱」や「居場所づくり指針」のほうには、新しく「ウェルビーイング(幸せな状態)」のワードが組み込まれているのが特徴です🌹

11-4幼児教育・保育の無償化

開始時期 2017年に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」を踏まえ、策定された「人づくり革命 基本構想」により、わが国の幼児教育・保育は2019(令和元)年10月より無償化されました
対象施設 保育所、幼稚園、認定こども園などの利用料が無償化
幼稚園の制限 幼稚園の利用料には上限があり、月額2.57万円まで
無償化の期間 期間は原則として満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間(幼稚園は満3歳から対象)
保護者の負担 通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者負担
おかず・おやつの免除特例 年収360万円未満相当世帯とすべての世帯の第3子以降は、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除
0〜2歳児の無償化 住民税非課税世帯の保育を必要とする子どもが対象
預かり保育・認可外保育施設
  • 無償化の対象となるには、市町村から「保育の必要性の認定」を受けることが必要
  • 「子ども・子育て支援法」の改正により「施設等利用給付」が創設され、3〜5歳の特別支援学校幼稚部や認可外保育施設なども無償化の対象