17-1社会福祉法の成り立ち

戦前は関東大震災による失業者や貧困者の増大、戦後はGHQの介入による混乱がありました。
日本国憲法の制定により、国の責任としての社会福祉が提示され、1951年に「社会福祉事業法」(現:社会福祉法)が制定され、社会福祉の推進と理念が定められた。

17-2社会福祉基礎構造改革

1951年の制定以降、大きな改正がなかった社会福祉法ですが、国民の福祉需要の増大・多様化に対応するため、1999年に「社会福祉基礎構造改革」による見直しが行われました。
この改革は、個人の尊厳と自立した生活の支援を理念としています。

改革の3つの大きな方向性

  1. 個人の自立をベースにして、自分でサービスを選べる制度にすること
  2. 質の高い福祉サービスをたくさん提供できるようにすること
  3. 地域での生活をまとめてサポートできるように、地域福祉を充実させること

社会福祉基礎構造改革

法律の改正 「社会福祉事業法」から社会福祉法へと改正されました
福祉サービスの利用制度化 行政が決定する従来の措置制度から利用制度への変更が行われ、利用者が自ら選択して契約する仕組みに変わりました
利用者保護のための制度の創設
  • 福祉サービスの適切な利用を援助する地域福祉権利擁護制度(福祉サービス利用援助事業)が実施されました
  • 利用者の不満や問題を解決するための苦情解決のしくみの導入がされました
サービスの
質の向上
事業者自身による自己評価などを通じて、提供するサービスの質の向上を図ることとされました
地域福祉の
推進
地域福祉を計画的に進めるため、市町村地域福祉計画都道府県地域福祉支援計画の策定が求められるようになりました
利用者の
権利擁護
  • 福祉サービス利用者の権利擁護とは、 利用者の権利が正しく保護されるように社会福祉事業者に課せられた役割のことです
  • この権利擁護の規定が、法律上で事業者にとっての 「義務」であるのか、それとも「努力義務」であるのかがポイントとなります

情報提供

利用者が自分に合った福祉サービスを選択するためには、事前の情報が必要不可欠です。
そのため、サービスを提供する側には経営状態やサービス内容に関する情報提供が求められています。

  1. 社会福祉法第75条において、社会福祉事業の経営者が「経営する社会福祉事業についての情報提供」を行うことは、努力義務と規定されています。

誇大広告の禁止

事業者が自身の事業について広告を出す際、その表現の程度について厳しく規定されています。

  1. 社会福祉法第79条において、社会福祉事業の経営者が「提供する福祉サービスについての広告において、著しく事実と異なる表記や、実際のものより優良、もしくは有利であると誤認させるような表示をすることを禁止する」と定められています。
  2. これは正しくない広告を出してはならないというルールであり、事業者に対して義務として課せられています。

第三者評価

第三者評価とは、事業者と利害関係のない者が公正な視点で行う評価のことです。
その結果を公表することで、利用者は信用できる情報を得ることができ、事業者はさらなるサービスの質の向上に努めるようになります。
試験にも毎回のように出題される極めて重要な項目です。
社会福祉法第78条において、福祉サービスの質の評価に関するルールが以下のように規定されています。

努力
義務
社会福祉事業の経営者
  • 提供する福祉サービスの質の評価を行うこと
  • 良質かつ適切な福祉サービスを提供できるように努めること
社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価を実施するための措置を講ずること

嘘の広告を禁じる「誇大広告の禁止」だけが絶対に守らなければならない義務であり、「情報提供」や「第三者評価」は事業者・国ともに努力義務である、という点に注目して整理することです

第三者評価のしくみ(一般的な社会福祉事業)

一般的な社会福祉事業における第三者評価のルールは
全体的に事業者の自主性を尊重する形(努力義務など)になっています

受審 規定なし、受審(評価を受けること)は任意の努力義務
評価基準 都道府県推進組織が策定した評価基準
評価機関 都道府県推進組織が策定した評価機関
結果の公表 評価結果を勝手に公表されることはなく、事業所の同意を得ていない結果については公表しない
自己評価 利用者調査を実施するよう努める努力義務

社会的養護関係施設における第三者評価(例外的な厳しいルール)

社会福祉法に規定される一般的な事業とは別に、子どもの社会的養護に関わる5つの特定の施設( 社会的養護関係施設:乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設 )については、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」をベースにした、より厳しい独自のルールが定められています。

社会的養護関係施設における具体的なルール

法的根拠と
対象施設
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に基づき、以下の5つの施設が対象となります。
乳児院、②母子生活支援施設、③児童養護施設、④児童心理治療施設、⑤児童自立支援施設
受審 一般的な事業とは異なり、3年に1回以上受審しなければならない義務
評価基準 全国共通の第三者評価基準(都道府県推進組織が独自に策定することも可能)
評価機関 全国推進組織が認証した評価機関(全国で有効。都道府県推進組織が認証した機関も可能)
結果公表 全国推進組織が、評価機関から報告を受けて評価結果を公表することになっています。
なお、都道府県推進組織でも重ねて公表することが可能です
自己評価 毎年実施

児童福祉施設における自己評価のルール

児童福祉施設における自己評価については、以下のような規定があります。

新設された「里親支援センター」の例外ルール

2024年4月に児童福祉施設の1つとして、社会的養護における里親に関する業務を担当する里親支援センターが創設されました。
ここには少し厳しいルールが課せられています。

保育所の評価について

保育所については、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」「子ども・子育て支援法」「保育所保育指針」において、業務の質の評価保育の質の評価自己評価について触れられています。

保育所の評価① 業務の質の評価

保育所が受ける評価や自己評価には、義務と努力義務の紛らわしい違いがあります。

法的根拠 「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第36条の2に規定されています
  • 保育所は、自らその行う法第39条に規定する業務の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない(義務)
  • 保育所は、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない(努力義務)
受審 保育所における第三者評価の受審は、努力義務とされています
評価基準 「第三者評価共通評価基準ガイドラインにおける各評価項目の判断基準に関するガイドライン(保育所解説版)」が用いられます

保育所の評価② 保育の質の評価

保育所を設置する人が、提供するサービスの質をさらに高めるためのルールです。

法的根拠 『子ども・子育て支援法』第33条第5項に基づきます
内容 特定の教育・保育施設の設置者は、その 提供する特定教育・保育の質の評価を行うこと、その他の措置を講ずることにより、特定教育・保育の質の向上に努めなければならないと定められています
受審の扱い 「保育の質の評価」は努力義務

保育所の評価③ 自己評価

保育士個人、そして保育所という組織それぞれが、日々の保育を振り返るためのルールです。

法的根拠 『保育所保育指針』第1章「総則3 保育の計画及び評価 (4) 保育内容等の評価」に基づきます
保育士
の役割
保育士等は、保育の計画や記録を通して自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その 専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない(努力義務)
保育所
の役割
保育所は、保育の計画の展開や保育士等の自己評価を踏まえ、該当する保育所の保育の内容について、 自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない(努力義務)

保育所の評価における「義務」と「努力義務」のまとめ

根拠となる法令 評価の種類 法律上の扱い
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 業務の質の評価 義務(唯一の例外)
第三者評価の受審と公表 努力義務
子ども・子育て支援法 保育の質の評価
保育所保育指針 保育士の自己評価
保育所の自己評価と公表
「義務」と「努力義務」のすり替えひっかけ対策ですわ💖

義務

  • 誇大広告の禁止
  • 社会的養護関係施設(乳児院など5施設)の第三者評価の3年に1回の受審
  • 新設された里親支援センターの外部評価
  • 保育所における「業務の質の評価」

努力義務

  • 社会福祉事業の経営者による情報提供
  • 社会福祉事業の経営者の福祉サービスを提供
  • 一般的な社会福祉事業の第三者評価の受審
  • 一般的な社会福祉事業の利用者調査
  • 児童福祉施設における自己評価
  • 新設された「里親支援センター」
  • 保育所における「第三者評価の受審と公表」「保育の質の評価」「保育士・保育所の自己評価」

苦情解決の要約

苦情解決に関わる法令

サービス内容に不満や要望があるときの解決方法について、
法律で義務の重さが分かれています。

都道府県 利用者からの苦情は、条例で基準を定める義務
社会福祉事業の経営者 利用者からの苦情は、適切な解決に努める努力義務

施設内外の苦情解決体制

苦情解決責任者 施設内 施設長や理事など
苦情受付担当者 職員の中から任免され、窓口となる人
第三者委員 施設外 苦情解決に社会性や客観性を保つための外部の有識者
児童委員、評議員、監事、監査役員、社会福祉士、弁護士、大学教授など

苦情解決の手順

利用者が不満を伝えてから解決し、それが公表されるまでのステップです。

利用者への
周知
苦情を言いやすくするため、掲示やパンフレットで「責任者・担当者・第三者委員の氏名や連絡先」「苦情解決のしくみ」をはじめに伝えておきます
苦情の受付 窓口である担当者が苦情を随時受け付けます。このとき、窓口だけでなく第三者委員も直接苦情を受け付けることができるという例外的なルールがあります
苦情受付の
報告・確認
受け付けた内容は、すべて苦情解決責任者および第三者委員に報告されます。第三者委員が直接受け付けた場合は、内容を確認した上で、申し出た人へ「確かに報告を受けました」と通知します。
苦情解決に向けての話し合い 責任者が申し出た人と話し合って解決を目指します。
必要であれば、中立な第三者委員に助言をもらうこともできます
苦情解決の
記録・報告
サービスの質を高めて正しい運営をするために、これらのやり取りをしっかりと記録・報告として積み重ねていきます
解決結果の
公表
サービスの信頼性を上げるため、結果をインターネットや広報誌などで広く公表することになっています。ただし、個人情報に関わるものを除きという制限がつきます

児童福祉施設における苦情解決

児童福祉施設には、さらに厳格な基準(義務)が定められています。

児童福祉施設 苦情解決の窓口を設置しなければなりません
生活を守る特定の施設 乳児院児童養護施設障害児入所施設児童発達支援センター児童心理治療施設児童自立支援施設では、身内だけで問題を隠さないよう、苦情解決の際に児童福祉施設の職員以外の者(外部の目)を必ず関与させなければなりません

福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)

社会福祉基礎構造改革の際、利用者保護のために作られた 福祉サービス利用援助事業が創設されました。
社会福祉法において 第二種社会福祉事業に規定されています。
名称は、かつての「地域福祉権利擁護事業」から、2007年に 「日常生活自立支援事業」という名前に変わっています。

目的 判断能力が不十分な人が、地域で自立した生活を送れるように、契約に基づいて福祉サービスの利用援助などを行うことです
対象者 次の両方に当てはまる人が対象となります
①判断能力が不十分な人(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者など、自分だけでは情報の入手や判断、意思表示が適切にできない人)
②この事業の契約内容について判断し得る能力を有していると認められる人
実施主体 都道府県指定都市の社会福祉協議会が実施の主体となります(実際の窓口業務などは市町村の社会福祉協議会などで行われます)
また、契約内容や本人の判断能力を確認する契約締結審査会と、適切な運営を監督する運営適正化委員会が設置されており、国庫補助事業として実施されています
事業の内容
  • 福祉サービスの利用援助
  • 苦情解決制度の利用援助
  • 日常生活上の消費契約や、住民票の届出などの行政手続きに関する援助
上記3つに伴う援助として「預金の払い戻し・解約・預け入れの手続きといった、日常的な金銭管理や、定期的な訪問による生活変化の察知」
費用 相談は無料ですが、サービス利用は有料です(生活保護受給者は免除あり)

成年後見制度

認知症や障害が進み、契約内容を判断する能力すら衰えてしまった場合は、この成年後見制度の対象になります。
この制度は「社会福祉法」に基づくものではなく、民法改正により制定された仕組みです。
大きく分けると法定後見制度任意後見制度の2つがあります。

2つの後見制度の概要

①法定後見制度

制度の概要 本人の判断能力不十分になった後に、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等が、本人を法律的に支援する仕組みです。
根拠となる法律は民法です
申立者 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など
制度の種類
と対象者
本人の判断能力の度合いによって、以下の3つに分かれます。
  • 後見:判断能力が全くない者
  • 保佐:判断能力が著しく不十分な者
  • 補助:判断能力が不十分な者

②任意後見制度

制度の概要 本人が十分な判断能力を有する時に、あらかじめ将来に備えて、自分が信頼する任意後見人と「将来どんなサポート(生活・療養看護・財産管理)をしてもらうか」の契約を結んでおく仕組みです。
根拠となる法律は任意後見契約に関する法律です。
本人の判断能力が不十分になった後に、任意後見人がその業務を本人に代わって行います。
申立者 本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見人となる者

2つの制度の最大の違い

日常生活自立支援事業 本人の「契約を結ぶ能力」がまだあることが前提です。
サポートできる範囲は、福祉サービスの利用手続きや、お小遣い程度の日常的な金銭管理に限定されています
成年後見制度 本人の判断能力がすでになくなっている(または将来なくなるときに備える)場合の仕組みです。
サポートできる範囲が広く、財産管理だけでなく、福祉施設の入所手続きなど、生活全般に関する契約等の法律行為を援助することができます

共同募金

歴史と目的

共同募金は、1947(昭和22)年に 市民が主体の民間運動として始まりました。
当初は戦後復興の一助として被災した福祉施設を中心に支援が行われ、その後、 社会福祉基礎構造改革によって社会福祉法に基づき、地域福祉の推進のために活用されています。

共同募金のしくみ

共同募金とは 都道府県の区域を単位として、毎年1回、厚生労働大臣の定める期間内に限ってあまねく行う寄附金の募集です。
その区域内における地域福祉の推進を図るため、社会福祉事業などを経営する者に配分することを目的としています
実施期間 毎年10月1日~翌年3月31日までの6か月間、全国一斉に行われます
社会福祉事業
の分類
第一種社会福祉事業に分類されます
共同募金会 共同募金事業を行うことを目的として設立される社会福祉法人のことです。
共同募金会以外の者は、共同募金事業を行ってはなりません
共同募金会
の認可
当該共同募金の区域内に都道府県社会福祉協議会が存在することなどが条件となります
配分委員会 寄附金の公正な配分に資するため、共同募金会に配分委員会を置くことが定められています
税制上の
優遇措置
共同募金に対する寄附金は、株式会社等の法人からの寄附金は「全額損金算入」。
個人からの寄附金は「所得税の寄附金控除および住民税の寄附金税額控除」の対象となります
募金の種類 戸別募金、街頭募金、法人募金、職域募金、学校募金などの種類がありますが、例年その多くを戸別募金が占めています
  1. 都道府県と社会福祉事業の経営者のルールを入れ替えるひっかけが頻出しますわ💖
    「都道府県」 = 条例で基準を定める「義務」
    「社会福祉事業の経営者」 = 適切な解決に努める「努力義務」🌹
  2. 児童福祉施設における「苦情解決の窓口設置(義務)」ですわ💖
    一般の社会福祉事業の経営者は努力義務なのに、
    児童福祉施設は「義務」に跳ね上がるため一番狙われます🌙
  3. 福祉サービス利用援助事業の法定後見の3つの分類ですわ💖
    「後見 = 全くない」 : 「保佐 = 著しく不十分」 : 「補助 = 不十分」という、
    判断能力の度合いと名前の組み合わせを入れ替える問題がよく出ます🌹
  4. 共同募金のひっかけ対策ですわ💖
    日常生活自立支援事業が「第二種」だったのに対し、
    共同募金は「第一種社会福祉事業」に分類されるという対比がとにかく狙われますわ🌹

17-3地域共生社会に関わる改正

地域共生社会とは

制度や分野ごとの「縦割り」や、「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものです。

改正の背景(社会構造の変化)

従来の公的支援 かつて地域や家族が果たしていた生活の支え合い機能が弱まったことに対応し、高齢者・障害者・子どもといった対象者別・生活機能ごとに公的支援制度の整備と充実が図られてきました
現在の課題 高齢化や人口減少により地域・家庭・職場の支え合い基盤が弱まり、人と人のつながりが減少しています。
また、耕作放棄地や空き家、商店街の空き店舗など地域社会の存続への危機感が生じています
支援の複雑化 対象者別・機能別に整備された公的支援では、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱えたりする「複合的な支援を必要とする対応困難なケース」が増加しています

2018(平成30)年における社会福祉法改正

地域共生社会の考え方をもとに、2018(平成30)年に社会福祉法が改正されました。

地域福祉の推進 地域住民における地域福祉推進が明文化されました
市町村地域福祉計画・都道府県地域福祉支援計画 地域福祉計画は2000(平成12)年の社会福祉法改正において規定されたものです。
2018年の改正では、市町村と都道府県に計画策定の努力義務があることが明文化されました。
なお、これらの計画は2021(令和3)年にも改正が行われています

地域福祉計画・地域福祉支援計画に関する社会福祉法条文

第107条:市町村地域福祉計画

市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(「市町村地域福祉計画」)を策定するよう努めるものとします。

  1. 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項
  2. 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
  3. 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
  4. 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項
  5. 地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に関する事項

第108条:都道府県地域福祉支援計画

都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から、市町村の地域福祉の支援に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(「都道府県地域福祉支援計画」)を策定するよう努めるものとします。

  1. 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項
  2. 市町村の地域福祉の推進を支援するための基本方針に関する事項
  3. 社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
  4. 福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項
  5. 市町村による地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備の実施の支援に関する事項

2021(令和3)年の改正内容

2021(令和3)年には、地域共生社会の実現を図るための改正が行われました。

地域住民の役割の明確化 地域福祉の推進について、地域住民の役割が明らかにされました
重層的支援体制整備事業の創設 市町村が行うことのできる「重層的支援体制整備事業」が創設されました。
これに伴い、同事業を実施する市町村に対して、重層的支援体制整備事業実施計画の策定が努力義務として規定されました

重層的支援体制整備事業の概要

市町村全体がチームとなって、以下の3つの支援を一体的に実現する事業です。

参加支援 課題を抱えた人や世帯を地域とつなぐ支援
属性を問わない相談支援 課題を抱えた人や世帯を専門職等につなぐ支援
地域づくりに向けた支援 様々なコミュニティーや分野での活動をつなぎ、人と人をつなぎ合わせていく支援

2021(令和3)年における社会福祉法改正

改正の概要

地域福祉の推進 第4条第1項に地域住民の役割を規定した新たな条文が追加されました
重層的支援体制整備事業の創設 市町村が行うことができる事業として創設され、実施する市町村による「重層的支援体制整備事業実施計画」の策定が努力義務に規定されました。

地域福祉に関する社会福祉法条文の要約

第4条第1項
地域福祉の推進の目的
地域住民が相互に人格個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行わなければなりません。
第4条第2項
地域住民等の努め
地域住民等は相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう、地域福祉の推進に努めなければなりません。
第4条第3項
地域生活課題の把握と解決
地域住民等は、福祉サービスを必要とする人や世帯が抱える福祉、介護、介護予防、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題や、地域社会からの孤立、日常生活を営み活動に参加する機会が確保される上での課題(=地域生活課題)を把握し、関係機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとします。

重層的支援体制整備事業に関する社会福祉法条文の要約

第106条の4第1項
事業の実施
市町村は、包括的な支援体制を整備するため、重層的支援体制整備事業を行うことができると定められています。
第106条の4第2項
事業の定義
この法律や他の法律に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民等への支援体制や、地域福祉の推進に必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業をいいます。
第106条の5第1項
実施計画の策定
市町村は、重層的支援体制整備事業を実施するとき は、適切かつ効果的に実施するための計画(重層的支援体制整備事業実施計画)を策定するよう努めるものとする(努力義務)と規定されています。
  1. 「2018年改正」と「2021年改正」の計画策定ルールのひっかけが頻出しますわ💖
    「2018年改正(地域福祉計画)」 = 市町村・都道府県ともに策定の「努力義務」
    「2021年改正(重層的支援体制整備事業)」 = 実施する市町村に実施計画策定の「努力義務」
    どちらも努力義務ですが、対象となる計画や事業が入れ替えられやすいので要注意です🌹

17-4社会福祉法人

概要と設立

社会福祉法人の事業

2021(令和3)年には、地域共生社会の実現を図るための改正が行われました。

社会福祉事業 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体または社会福祉法人が経営することを原則とします
公益事業 公益を目的とする事業
収益事業 その収益を社会福祉事業か公益事業の経営に充てることを目的とする事業
公的規制 非営利性・公益性に鑑みて、運営にあたって強い公的規制を受けます
優遇措置
・補助金
規制を受ける一方で、法人税、固定資産税、寄付等についての税制優遇措置や補助金の交付を受けています

17-5社会福祉事業

社会福祉事業とは、「社会福祉法」に規定され、社会福祉を目的とする事業のうち、規制と助成を通じて公明かつ適正な実施の確保が図られなければならないものとされています。
その主体と事業の目的により、第一種と第二種に分類されています。

社会福祉事業の分類

第一種
社会福祉事業
入所型事業など、利用者の生活に対する影響が大きく、事業の継続性や安定性の確保等の必要性が高いものが対象となります
第二種
社会福祉事業
通所型事業など、利用者の生活に対する影響が第一種社会福祉事業に比べてそれほど大きくない、公的規制の必要性が低いものが対象となります

届出・許可の手続き

事業を経営しようとする際は、事業の種類、経営主体によって
「社会福祉法」において届出・許可の手続きが定められています。
手続きの対象はすべて都道府県知事となります。

第一種社会福祉事業の手続き

- 市町村・社会福祉法人による経営 国、都道府県、市町村および社会福祉法人以外の者(民間企業など)による経営
施設を設置
する場合
事業開始前に、設置しようとする地の都道府県知事に届け出なければならない 事業開始前に、設置しようとする地の都道府県知事の許可を受けなければならない
施設を必要
としない場合
事業開始の日から1月以内に、事業経営地の都道府県知事に届け出なければならない 事業開始前に、事業経営しようとする地の都道府県知事の許可を受けなければならない

第二種社会福祉事業の手続き

第二種社会福祉事業は、経営主体に関わらず原則として「届出」となります。

施設を設置
する場合
住居の用に供するための施設(社会福祉住居施設)を設置して開始したときは、事業開始の日から1月以内に、設置した地の都道府県知事に届け出なければならない 業開始前に、設置しようとする地の都道府県知事に届け出なければならない
施設を必要
としない場合
事業開始の日から1月以内に、事業経営地の都道府県知事に届け出なければならない

具体的な社会福祉事業(2025年4月1日現在)

第一種社会福祉事業(第2条第2項)

原則として国、地方公共団体、社会福祉法人が経営する事業です。
主に「入所型」の施設や、生計困難者への直接的な経済・生活支援が対象となります。

生活保護法 救護施設、更生施設、生計困難者を無料または低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設、生計困難者に対して助葬を行う事業
児童福祉法 乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設
老人福祉法 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律


障害者支援施設

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律


女性自立支援施設
- 授産施設、生計困難者に対して無利子または低利で資金を融通する事業、共同募金

第二種社会福祉事業(第2条第3項)

主に「通所型・在宅支援型」のサービスや、相談・専門的な援助を行う事業が対象となります。

生活困窮者自立支援法 認定生活困窮者就労訓練事業
児童福祉法 障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、小規模保育事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業、親子再統合支援事業、社会的養護自立支援拠点事業、意見表明等支援事業、妊産婦等生活援助事業、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業、親子関係形成支援事業、乳児等通園支援事業、助産施設、保育所、児童厚生施設、児童家庭支援センター、里親支援センター、児童の福祉の増進について相談に応ずる事業

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律


幼保連携型認定こども園

民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律


養子縁組あっせん事業
母子及び父子並びに寡婦福祉法 母子家庭日常生活支援事業、父子家庭日常生活支援事業、寡婦日常生活支援事業、母子・父子福祉施設
老人福祉法 老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護等事業、認知症対応型老人共同生活援助事業、複合型サービス福祉事業、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センター、老人介護支援センター

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律


障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、特定相談支援事業、移動支援事業、地域活動支援センター、福祉ホーム
身体障害者福祉法 身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業、介助犬訓練事業、聴導犬訓練事業、身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設、視聴覚障害者情報提供施設、身体障害者の更生相談に応ずる事業
知的障害者福祉法 知的障害者の更生相談に応ずる事業
-
  • 生計困難者のために、無料または低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、または宿泊所その他の施設を利用させる事業
  • 生計困難者のために、無料または低額な料金で診療を行う事業
  • 生計困難者に対して、無料または低額な費用で介護保険法に規定する介護老人保健施設または介護医療院を利用させる事業
  • 隣保事業(隣保館等の施設を設け、無料または低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善および向上を図るための各種の事業を行うもの)
  • 福祉サービス利用援助事業